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<縮小の先へ 被災地と人口減>外国人定住策選択肢に/国士舘大文学部 鈴木江理子教授に聞く

[すずき・えりこ]一橋大大学院社会学研究科博士課程修了。NPO法人・移住者と連帯する全国ネットワーク副代表理事。編著に「東日本大震災と外国人移住者たち」。53歳。

 東日本大震災は、少子高齢化が進んでいた東北の沿岸部を直撃した。近い将来、存続の危機に直面する地域が続出すると予想される中、人口減少とどう向き合えばいいのか。人口・移民政策に詳しい国士舘大文学部の鈴木江理子教授(社会学)に聞いた。
(聞き手は報道部・片桐大介)

 −少子化の流れが止まらない日本社会の問題点は何か。
 「1970年代に少子化が始まり、日本社会を持続することが困難な状況が続いている。原因の一つが企業の働かせ方だ。企業は男性の労働環境を改善せず、男性同様、夜遅くまで働ける女性ばかり求めてきた」
 「保育所がいくらあっても親が子育てに向き合う時間や余裕がなければ、子どもの存在が負担になり、出産を選択しない。『子どもは公共財』という観点で社会を見直さなければいけない。現状は個人任せの私有財。公共財だからみんなでお金を出して育てよう、という社会に変えなければならない」

 −少子化が進む東北の中でも被災地はとりわけ人口減少が著しい。
 「出産可能な年齢の女性が少なく、多くの市町村は自然増の追求が難しい。保育所だけ整備しても無意味。産科、小児科、教育環境などが整わなければ親世代は住まない。人口が少ない市町村ほど財源や人材が乏しく、環境整備が厳しいのが現実だ」
 「若者がいない地域に住む高齢者は、災害時に避難できなくなる恐れがある。地域コミュニティーを維持するには、一定規模の人口が必要だ。国内でのパイの奪い合いは激しく、復興途上の被災地は不利だ」

 −4月から外国人労働者の受け入れが拡大されるが、人口減対策になり得るか。
 「被災地は、国境を越えた社会増を求めざるを得ないのではないか。ただ、雇用者側も高齢化する。外国人労働者を迎え入れる地域にとって、産業の維持は難しくなる。技能実習生のように数年で入れ替わる外国人労働者だけでは限界がある」
 「地域の産業を継ぐ人材として定住の道を開くことが望ましい。外国人が増え、商業施設などが維持されれば日本人にとっても住みやすい地域になる。外国人の生活を支えるサービスは必要で、小規模市町村への国の支援が課題になる」

 −被災地として取り組める対策は。
 「震災後、フィリピン人コミュニティーが相互扶助組織として被災地で活動した。震災で見えてきた存在を新たな移住者の受け皿として生かせる。既に居住する外国人は地域に必要な人材であり、市町村は再評価するべきだ」


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2019年02月26日火曜日


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