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<再生の針路>閖上のにぎわい 具現化/名取市 山田司郎市長

閖上地区であった交流会。住民のにぎやかな声が戻りつつある=昨年12月22日
山田司郎名取市長

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。

◎震災8年 被災地の首長に聞く(5)

<655戸の整備完了>
 −昨年12月に閖上地区の災害公営住宅が完成した。
 「これで市内655戸の整備が全て完了し、住まいの再建は一定のめどが付いた。現在、1000人ほどが閖上地区に戻っており、新たに住宅を購入する転居者に費用を補助する定住促進策などもある。計画人口の2100人は達成できるだろう」

 −産業用地の造成と企業誘致も始まった。
 「産業が再生してこそ本当の復興。仙台空港のお膝元で、仙台東部道路の名取インターチェンジ(IC)にも近く仙台港まで20分。県道塩釜亘理線も通っており、交通アクセスの良さが閖上地区の売りだ。これらが評価され、今月、まず4社と立地協定を結んだ」

 −4社の進出エリアは1ヘクタールに満たない。募集予定の約15ヘクタールは埋まるのか。
 「名取ICまで信号がなく、3分で直結する市道が3月29日に開通する。災害時に内陸側への避難道路ともなる路線の完成で、さらに魅力が高まる。企業の感触はいいので、スピード感を持って閖上にふさわしい土地利用を進めたい」

 −商業施設建設やにぎわい再生も具現化してきた。
 「食品スーパーが来年オープンし、名取川堤防沿いにも商業施設が今年4月にできる。昨年8月には閖上漁港や広浦で舟運事業が始まり、サイクルスポーツセンターも温泉施設付きで再建される。現地再建したまちを持続可能にする責務がある。各施設・団体の連携を図る組織を立ち上げ、『オール閖上』でにぎわいを創出したい」

<小児科の立地を>
 −懸案だった医療福祉施設の進出はどうか。
 「公募の結果、特別養護老人ホームが来ることは方向性として決まった。子育て世代のため、さまざまな制度を駆使して小児科も立地させたい。同じ生活インフラという点で、金融機関の誘致にも取り組む」

 −災害公営住宅では、住民の高齢化という問題が顕在化している。
 「市内の災害公営住宅全体の高齢化率は1月末で45.7%。関係機関が連携して見守りを続けるが、マンションタイプはそもそもコミュニケーションの取りづらさがある。『鉄の扉』と呼ばれる問題で、呼び鈴を鳴らしても出てこない方をどうするか模索したい」

 −ほかに残る課題は。
 「広浦などに残る震災がれきの撤去だ。目にして、心を痛める方もいる。国や県にしゅんせつの必要があると要望していく」
(聞き手は岩沼支局・桜田賢一)


2019年02月27日水曜日


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