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<安住の灯>石巻・みなし退居後の人口移動 雄勝2割しか戻らず 半島部から転出顕著

 東日本大震災で最も被害が大きかった石巻市で、仮設住宅や災害公営住宅などへの入居に伴い、半島部から市中心部や内陸部への人口移動が顕著になっている。市内の他地区に転出し、民間賃貸などのみなし仮設に入居した世帯数の動向をみると、雄勝地区は2割弱、牡鹿地区は2割強しか退居後に戻っていない。

 国立研究開発法人建築研究所(茨城県つくば市)の米野史健上席研究員の論文を基に、石巻市内のみなし仮設を対象にした入退居時の地区間移動をまとめた結果は図の通り。雄勝から石巻への転出は70件で、戻りは9件のみだった。牡鹿から石巻も転出は62件で、逆の流れは10件となっている。
 市雄勝総合支所の及川剛地域振興課長は「地区内にほとんど避難所が設置できず、仮設住宅の供給数も少なかったため、初動段階で人口流出を招いた」と分析。「生活関連の施設が整った市中心部から特に若い世代が戻らず、世帯分離が起きた」と説明する。
 一方、マンションやアパート、災害公営住宅などが集積する市中心部に移り住む動きが際立っている。特に復興事業で住宅基盤の整備が進む蛇田地区には、沿岸部の広い範囲から世帯が流入している。
 気仙沼市も傾向は同様だ。中心部の気仙沼地区への転出は鹿折地区が129件、唐桑地区が16件で、退居時に戻った数はそれぞれ39件、9件となっている。
 米野氏は宮城、岩手両県でみなし仮設への入居に伴って他の市町村に転出した世帯が退居後、元の市町村に戻った割合は両県とも約4割にとどまるとの研究報告を既にまとめている。
 自治体内でも進む人口の偏在について、米野氏は「多くの賃貸物件が各区内にある仙台市を除き、みなし仮設の利用で市街地に移動する傾向は被災自治体に共通するとみられる」と指摘。「元の地区に戻る際は、仕事や地域コミュニティーとのつながりなどが要因になるのだろう」と話す。


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2019年02月27日水曜日


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