青森のニュース

<震災8年>探査船「ちきゅう」見学中に被災 児童の体験を海洋機構職員が絵本に

絵本「津波の日の絆」を手にする小俣さん(右)と田中さん
絵本「津波の日の絆」

 八戸市の八戸港で海洋研究開発機構(海洋機構)の地球深部探査船「ちきゅう」を見学中に東日本大震災に遭い、船内で一夜を過ごした児童らの体験を描いた絵本「津波の日の絆」が3月、出版される。文章を手掛けたのは船内に一緒にいた海洋機構技術主任の小俣珠乃さん(47)。「忘れられない物語を形にすることができた」と話す。

 同市中居林小の5年生48人は地震発生時、船内を見学中だった。児童らは船側の判断で船にとどまり、翌日、自衛隊のヘリコプターで救助された。直後に船を下りていたら津波に巻き込まれた可能性もあったという。
 絵本は構想から約3年で完成した。地震直後の様子や、「風になりたい」を歌って元気を出したエピソードなどを盛り込んだ。小俣さんは「静まり返って緊張した空気だったが、前向きな気持ちに変わった。児童が大人の心も動かし、雰囲気を変えてくれた」と振り返る。
 児童が中学卒業の際、海洋機構からお祝いの手紙が届いたという後日談も描いた。
 かつて海洋機構に勤め、現在は国立天文台アルマプロジェクト広報・デザイナーの田中利枝さん(41)が絵を担当した。「これ以上ない出来に仕上がった」と胸を張る。
 小俣さんと田中さんは25日、全小学校に行き渡るよう51冊を市に寄贈。26日には中居林小で出前授業も行った。小俣さんは「八戸の子どもたちがいたから絵本ができた。当時の出来事は心の中で生き続けており、読者の共感も得られると思う」と話す。
 出版元は冨山房インターナショナル(東京)。B5変型判48ページ。1800円(税抜き)。3月5日から各地の書店に並ぶ予定になっている。


2019年02月27日水曜日


先頭に戻る