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山形の百貨店「大沼」経営再建が難航、投資会社と地元経済界に溝

記者会見で大沼への支援を呼び掛ける佐藤市長(中央)
再建が難航している老舗百貨店の大沼=山形市七日町

 投資ファンドのマイルストーンターンアラウンドマネジメント(MTM、東京)の完全子会社として経営再建中の老舗百貨店大沼(山形市)で、本店の店舗改装といった再生計画がほとんど進んでいない。市や地元経済界は「MTMが約束した資金供給が滞っているためだ」と批判。MTMは3億円の追加投資を行う意向を示しているが、今のところ両者の溝が埋まる気配はない。(山形総局・菊地弘志)

<市長が呼び掛け>
 「大沼は経済や雇用の面でも、市民に愛される百貨店としても市にとって不可欠な存在。今できるのは応援すること、買い支えていくことだ」
 山形市の佐藤孝弘市長は20日、山形商工会議所の清野伸昭会頭、七日町商店街振興組合の富岡善一郎専務理事と共に市内のホテルで記者会見を開き、市民への異例の呼び掛けを行った。
 当日は、市などが新年度から官民連携で取り組む活性化計画「市中心市街地グランドデザイン」を策定した翌日。本店のある七日町商店街が計画の主な舞台となることもあり、3人が並んだテーブルには「山形から百貨店の灯を消すな!」のパネルが掲げられた。
 異例の記者会見の背景には、MTMの資金で3月末に完了する予定だった本店のリニューアルがほぼ手付かずで、今後の資金の見通しも不透明なことへの不満があった。
 関係者によると、MTMは大沼への当初の出資金3億円のうち3分の2以上をファンド本体に還流させたため、店舗改装に十分な資金を確保できていない。「MTMが他の投資案件を優先させ、大沼の再建を後回しにしているのでは」との見方も広がり、不信感が高まっている。
 1700年創業の大沼は業績悪化に伴い創業家トップが昨年4月退任し、MTMに経営譲渡。MTMは数億円を出資し、新たな食品売り場を開設するなど大胆な本店リニューアルを再生計画の柱に据えていた。

<「事実と異なる」>
 地元からの批判に対し、大沼社長を兼任する早瀬恵三MTM社長は、河北新報社の取材に「計画が円滑に進んでいないのはご覧の通りだが、地元で言われている話は事実と異なる点もある」と釈明。3月末までに3億円を追加投資する方針を関係者に示しており、「計画の枠組みで粛々と進めていく」と強調する。
 佐藤市長は「MTMが追加投資を実行するかどうかが焦点だ。早く方向性を示してほしい」と引き続き厳しい視線を向けている。

[マイルストーンターンアラウンドマネジメント]2005年設立の企業再生投資ファンド。資本金約5億7000万円。株主は日本政策投資銀行など。百貨店では、ななっく(盛岡市、旧中三盛岡店)を手掛けたほか、家電量販店ラオックスや本間ゴルフの再生に関わった。


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2019年02月28日木曜日


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