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<再生の針路>ソフト面の施策に注力/岩沼市 菊地啓夫市長

一斉に花を咲かせたソバ。千年希望の丘の新たな名物になりつつある=2018年9月3日

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。

◎震災8年 被災地の首長に聞く(7)

<生きがいづくり>
 −現在の復興の状況をどのように捉えているか。
 「ハード整備は9割方、完了した。保育所の再建や排水機場の整備などが残るくらいだ。被災者の見守りや災害援護資金の返済のフォローなど、これからはソフト面に注力する時期だと考えている」

 −昨年10月、集団移転元地の千年希望の丘でレンタサイクル事業を始めた。
 「強風が懸念される12〜3月は休止しているが、暖かくなるこれからの時期は利用者が増えるだろう。人気のある『いわぬまひつじ村』まで行く足などとして楽しんでもらいたい。跡地利活用策の一つで、震災の風化防止の側面からも続けたい」

 −ひつじ村は被災者の心の復興にも重要な役割を果たしている。
 「被災者の生きがいづくりの一環で、公益社団法人青年海外協力協会に委託している。協会は市内で障害者支援業務も担っているので、今後は障害者の就労場所として、ひつじ村を続けてもらい、被災地の新しい触れ合いの場になっていけばいい」

 −千年希望の丘ではソバ栽培も実施している。
 「何もなくなった土地に白い花が咲くと復興を感じられると考えた。2年目の本年度はあまり収穫できなかったが、沿岸部での栽培はもともと難しいと聞く。少しずつノウハウを獲得して軌道に乗せ、ブランド化を図りたい」

 −集団移転先では高齢化が深刻だ。
 「何かいい解決策がないか模索しているところだ。高齢者のごみ出しを支援するなど、隣近所が助け合う方法や仕組みを作れないか検討している」

<高齢者外出促す>
 −外出を促すイベントも特定の住民に頼りきりだという印象がある。
 「サポートできることがないかを考えている。せっかく集会所を三つも造ったのだから、集まって弁当を食べるだけでもいいからやらないと、高齢者が閉じこもりきりになる」

 −実際に、何を開催しても家から出てこない被災者が顕在化している。
 「難しい問題だ。快適な災害公営住宅の中で一日中テレビを見ている人もいるようだ。家の中に一人きりだと自殺や認知症なども懸念される。共通の趣味の人間が集まり、その趣味を発表できる場を提供するなど、高齢者の楽しみづくりの面から対応したい」(聞き手は岩沼支局・桜田賢一)


2019年03月01日金曜日


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