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<311次世代塾>第2期 第14回講座 「災害法制の課題」「保険を中心とした民間支援の仕組み」を考える

「応急」が長期にわたる仮設住宅=昨年12月、名取市愛島東部仮設住宅団地

 若者たちが東日本大震災で起きたことに向き合う通年講座「311『伝える/備える』次世代塾」第2期の第14回講座が2月16日、仙台市宮城野区の東北福祉大仙台駅東口キャンパスであった。復興期を扱う第3フェーズの最終回「考える」講座で、東北大公共政策大学院兼災害科学国際研究所の島田明夫教授(62)、日本損害保険協会東北支部の新井吾一事務局長(57)の2人が講師を務めた。

◎「災害復旧法」制定を/東北大公共政策大学院兼災害科学国際研究所教授 島田明夫さん

 島田教授は「災害法制の課題」をテーマに講話。冒頭、法制定と改正の歴史を紹介した島田教授は「日本の災害法制は災害の度に後追い的に制定・改正されてきた。継ぎはぎ状になっており、震災のような未経験の広域・大規模災害には対応できなかった」と指摘し、「南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの発生が懸念される現在、広域・大規模災害にも対応できる法体系が必要だ」と訴えた。
 島田教授は、提言として災害救助法の運用改善を強く求め「震災では法で定める現物給付による支援が原則とされ、刻々と変わる被災者ニーズとミスマッチが生じた」と強調。「ミスマッチを解消し、避難生活の長期化に対応できるよう災害復旧法(仮称)の制定が必要だろう」と力説した。
 被災者の住居確保を巡っては「民間賃貸の仮設住宅の家賃支払いに使途を限ったチケットを発行してはどうか。また、準恒久住宅として使用できる仮設公営住宅(仮称)を整備する手もある」と提案した。

◎保険加入自己責任で/日本損害保険協会東北支部事務局長 新井吾一さん

 2人目の講師を務めた新井事務局長は「保険を中心とした民間支援の仕組み」と題して講話を始め、「震災での地震保険金支払いは80万件、総額は1兆2800億円に上った」と報告し「生活再建支援を急ごうと、調査員を全国から集め、発生9カ月で調査は99%が完了した」と振り返った。
 「地震保険は保険会社に利益はない」とも述べた新井事務局長は「大地震が起きれば支払う保険金は巨額になる。そのため地震保険は国が公費を投じて民間と共同運営しており、公助ともいえる」と解説した。
 また、現行の被災者支援制度や義援金配分との比較に言及した新井事務局長は「地震保険は、保険金が比較的早く受け取れ、補償額も大きい」と述べ、仕組みの有用性を強調。受講生に「地震は被災頻度こそ低いが被災時の打撃は大きい。加入するかどうか、選択の責任は自分にあると自覚してほしい」と呼び掛けた。

◎受講生の声

<学び基に備える>
 地震保険の仕組みを学び、今後の備えが必要と感じました。災害法制は課題もあり遠慮せず自分たちの意見を言っていくことが大事だと知りました。学びを基に、いざという時どう行動すべきか考えたい。(宮城県大河原町・東北福祉大2年・森みずきさん・20歳)

<市民の意見大事>
 災害が多発する中、災害法制には実態に合わない部分があると学びました。いろいろな世代の人が関わって対応を考える必要があります。行政に市民が積極的に意見を述べることも大事だと考えました。(仙台市青葉区・東北福祉大2年・若杉陽向さん・20歳)

<自分事と考える>
 地震保険が被災者の生活再建に大きく貢献したことを知りました。災害法制には課題もあり、南海トラフ地震などに備えて改善することが必要です。自分事と考え、災害に備えることが大切だと思いました。(仙台市青葉区・東北大2年・熊谷久美恵さん・20歳)

[メモ]311「伝える/備える」次世代塾を運営する「311次世代塾推進協議会」の構成団体は次の通り。河北新報社、東北福祉大、仙台市、東北大、宮城教育大、東北学院大、東北工業大、宮城学院女子大、尚絅学院大、仙台白百合女子大、学都仙台コンソーシアム、日本損害保険協会、みちのく創生支援機構。事務局は河北新報社防災・教育室=メールjisedai@po.kahoku.co.jp


2019年03月01日金曜日


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