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<気仙沼震災遺構・伝承館>古里の記憶、国内外へ発信 父亡くした小野寺さん、スタッフに

震災遺構・伝承館のスタッフとして働くことになった小野寺さん(右)

 東日本大震災の津波で父を亡くした気仙沼市の小野寺敬子さん(58)が、同市の震災遺構・伝承館のスタッフとなった。遺構のある同市波路上地区の遺族らの証言をまとめた記録誌を作成し、語り部としても活動する小野寺さんは、震災の記憶を国内外に発信する。
 小野寺さんは受け付け業務や伝承館のシアタールームでの案内などを担当する。週2日の休みには、要望に応じて語り部の活動も行う予定だ。
 同市波路上杉の下で同居していた父萬(よろず)さん=当時(80)=を津波で亡くした。90人以上が犠牲になった地区の遺族を含む約60人から当時の状況を聞き取り、2016年春、記録誌にまとめた。
 昨年7月に約30年間勤めた市内の農機具販売会社を退職した。しばらくゆっくりしたいと思っていた時、遺構でスタッフを募集していることを知った。今年1月に面接試験を受け、採用が決まった。
 記録誌作成の際に話を聞いた住民のうち数人は亡くなった。年々、風化が進んでいることに危機感もあった。「この地域の震災をよく知る自分が、何かを伝えなければと思った。震災に関わって生きていくことになるのでしょう」と明かす。
 地元の住民から「やっぱりここに勤めるんだね」と声を掛けられるという。「遺構の屋上からはネギやイチゴが栽培される様子も見える。津波の恐ろしさ、悲惨さだけでなく、古里が復興していく姿も伝えたい」と話した。


2019年03月02日土曜日


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