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<震災8年>原発ゼロへ転換の好機 女川再稼働、住民は声を/小泉元首相に聞く

脱原発への熱意を語る小泉元首相=東京都品川区の城南信用金庫本店

 東日本大震災から8年を前に、全国行脚を続け脱原発を説く小泉純一郎元首相(77)が河北新報社のインタビューに応じた。原発の危険性に関し、テロや自然災害を念頭に置き「日本国民に向けて原爆を持っているようなものだ」と指摘。安倍政権の原発政策では、東北も密接に絡む原発再稼働や核燃料サイクル事業を批判した。「総理が決断すれば原発ゼロは簡単にできる」と強調した一方、夏の参院選は野党が改選1人区で統一候補を擁立し、脱原発を争点に戦えば「(勝敗は)分からない」と予想した。(聞き手は東京支社・瀬川元章)

 −東京電力福島第1原発事故までは原発推進派だった。
 「日本の原発は絶対安全、コストは他の電源に比べて安い、二酸化炭素を出さない永遠のクリーンエネルギー。経済産業省や原発推進論者の三つの大義名分を信じていたが、全部うそ。あの悲惨な事故で日本がなくなっちゃうなという意識を持ったから、原発ゼロに踏み出した」

 −安倍晋三首相も原発にこだわる。
 「ゴルフなんかで会った時に『経産省にだまされているんだぞ』と言ってるんだけど、苦笑して全然反論しないね」

 −政府は原発輸出を成長戦略の柱に据える。
 「日本で再稼働はなかなか無理だから、外国に活路を見いだそうとしたんだろうが、ベトナムやトルコ、英国も駄目。袋小路に入った。ひとたび事故が起こったら古里がなくなっちゃう代物なんだから、展望がない衰退産業。自然エネルギーが成長産業ですよ」

 −夏に参院選が控える。
 「野党が結束して、原発ゼロを最大の争点にすれば、自民党も1人区は分からんよ。場合によっては政権交代できるような状況をつくれる」

 −一肌脱ぐことは。
 「私はもう政治、政党活動には一切タッチしない」

 −東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に向けた審査が終盤を迎えた。
 「電力会社や経産省が何とか再稼働させたいと思ってやっているわけでしょ。やっぱり政治が止めなきゃいかん」

 −2号機の再稼働の是非を問う住民投票条例案が宮城県議会で審議されている。
 「住民はいろいろ考えた方がいいよね、諦めないで。強い反対の声を出した方がいい」

 −日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)も審査「合格」が近づく。
 「夢の原子炉と呼ばれた高速増殖原型炉もんじゅの廃炉が決まり、核燃サイクルは破綻した。千年万年危険な廃棄物の最終処分場が一つもないのに、『トイレなきマンション』をまたやろうとしている。カネまみれ産業と言ってもいいよ」

 −次男の進次郎衆院議員は1年前に応じたインタビューで「どうやったら原発をなくせるのか考え続けるべきだと思う」と将来的な脱原発をにじませた。
 「私の意見は分かっているからね。(周囲から)『若造、何やってるんだ』って言われるから積極的にしないんだろう。政府の政策に反旗を翻すのは、ある程度力を付けていかないとね。今は実績を積む時期だよ」

 −平成が間もなく終わる。今年の抱負は。
 「原発をゼロにして、自然エネルギーの活用で発展していく時代を早くつくることだな。私は全然悲観していないよ」
 「総理が言えば、与野党も国民も企業も協力しますよ。反対勢力も無視できるほどの少数になる。時代の変わり目に、世界が見習う夢のある大事業で転換できるチャンスを生かしていないのはもったいない」


2019年03月05日火曜日


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