宮城のニュース

<再生の針路>宿泊客の回復 なお途上/松島町 桜井公一町長

国道45号の店側の歩道拡幅がほぼ完了した松島海岸地区
桜井公一町長

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。

◎震災8年 被災地の首長に聞く(11)

 −復旧・復興関連事業の進行状況は。

<残るは避難道路>
 「47事業のうち28事業は完了した。契約済みの事業割合なら87.2%だ。雨水排水機場の整備のピッチが2017年度から上がったので、あとは避難道路。国の『復興・再生期間』終了まで残り2年余りとハードルは高い。何とかしたい」
 「(松島一小近くの)架け替え工事中の松島大橋は20年6月に新たな橋の使用を開始したい。現在の橋の解体を含む事業は20年度末までほぼ完了するだろう」

 −観光復興の手応えは。
 「町の観光客入り込み数は震災前の年間350万人には届かないが、18年は305万人まで回復した。被災した松島海岸グリーン広場は復旧しつつあり、瑞巌寺の『平成の大修理』落慶法要に合わせて国や県が国道45号の歩道拡幅工事などを急いでくれ、松島をだいぶ発信できた」
 「観光名所などの入場者は増えたが、宿泊は年間約60万人と震災前の67万8000人に及ばない。49%ほどのホテル稼働率が55〜60%に戻ってほしい。開湯10周年を迎えた松島温泉を町としてもPRしたい」

 −JR松島海岸駅のバリアフリー整備事業が始動するなど新たな動きもある。
 「町の19年度予算案に新駅舎の関連費を計上した。付近でかつて年間30万人が訪れたマリンピア松島水族館の跡地では、新商業施設『宮城県 松島離宮』の計画が進む。20年の東京五輪・パラリンピック開催時に新施設と駅舎でにぎわいが戻ればと期待している」

 −1次産業はどうか。

<カキ養殖が苦戦>
 「カキ養殖は苦戦している。7カ所あったカキむき施設は被災で4カ所に減った。水揚げ量と金額は10年度が71.6トンで1億円だったが、生産者の高齢化もあり17年度は34.7トンで5100万円。イベントなどで販売を支援したい」
 「震災で地盤沈下した手樽地区172ヘクタールで県の圃場基盤整備事業が進む。完成は20年度末だが、今年5月に耕作者に返す予定で大きな圃場でのコメ作りが始まる。担い手を育てたい」

 −町の人口減少率が高まるという将来予測を国立の研究機関が発表した。
 「幼児数は減っていないが、人口減対策は緊急課題だ。土地利用の法的規制が多い町内で、コミュニティー維持を目的にJR品井沼駅前の土地利用計画の策定を県と協議している。子育て環境の充実や企業誘致も図っていきたい」(聞き手は塩釜支局・松田佐世子)


2019年03月06日水曜日


先頭に戻る