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<震災8年>転居先が遠いほど高ストレス、古里離れ孤立し体調悪化か 石巻で東北大が調査

 東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市雄勝・牡鹿地区の被災者は、転居先が地元から遠ければ遠いほど強い心理的ストレスを抱えていることが5日、東北大の調査で分かった。遠方に移った被災者ほど、睡眠障害などのリスクにさらされている傾向も表れた。古里を離れて孤立し、健康状態が悪化した可能性がある。
 震災後の居住地別に心の健康状態を尋ねたところ、「気分が沈む」など心理的苦痛が大きい割合はグラフの通り。雄勝・牡鹿地区内居住者の心理的ストレスの割合を基準に、年齢などを加味して比較した結果、両地区以外の石巻市内1.33倍、市外・県外1.83倍だった。
 不眠などの睡眠障害の疑いがある割合は、雄勝・牡鹿地区29.2%、両地区以外の市内34.7%、市外・県外37.5%。雄勝・牡鹿地区内の居住者に比べ、睡眠障害のリスクは両地区以外の市内1.26倍、市外・県外1.41倍だった。
 津波で壊滅的な被害を受けた雄勝地区は人口の7割、牡鹿地区は4割が減少した。仕事や通学などのため転居したり、都市部の親類宅や近くに身を寄せたりした被災者が多い。前年の調査で心理的ストレスの差はほとんどなく、時間の経過とともに遠方に転居した被災者のストレスが強まる傾向が見られた。
 研究チームは「両地区は地域コミュニティーの支え合いが強かった。転居により、近隣住民との交流が薄れた影響が大きいのではないか」と分析。心理的苦痛が睡眠障害と関連している可能性が高いという。
 調査に当たった東北大大学院医学系研究科の菅原由美助教(公衆衛生学)は「被災地から遠く離れるほど、被災体験を共有できる仲間が減り、支援が届きにくくなる。自治体や地区間の連携を密にし、被災者を孤立させない取り組みが必要だ」と指摘した。

[調査の概要]被災者の健康状態を追跡調査するため、東北大が2018年6月に実施し、2238人から回答を得た。内訳は雄勝・牡鹿地区内1149人、両地区以外の石巻市内817人、市外・県外272人。転居先は市内は大規模な移転団地が整備された新蛇田地区が多かった。市外は仙台市をはじめ、首都圏や西日本など広範囲に及んだ。


2019年03月06日水曜日


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