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<震災遺構>石巻・旧門脇小の保存「住民了承」認識に差 市の復興庁への説明に地元反発

遺構整備の前提となる住民合意が揺らぐ旧門脇小

 宮城県石巻市が東日本大震災の遺構として部分保存する方針の旧門脇小を巡り、市が基本設計業務の事業費を確保する際、復興庁に「(住民の)了承を得た」と説明していたことが7日、分かった。全体保存を求める住民側は「事実と異なる」と異議を唱える。同庁が遺構整備支援の前提とする「住民・関係者間の合意」の妥当性が問われそうだ。(石巻総局・鈴木拓也)

 市は2017年11月、復興庁に旧門脇小の遺構整備に関する書類を提出した。河北新報社が情報公開請求で入手した文書には「地域住民や地元まちづくり協議会から震災遺構として残すことは了承を得ている」と記載されていた。
 市は「了承」の根拠として16年度に設置した震災遺構検討会議を挙げ、地元の住民団体「新門脇地区復興街づくり協議会」の役員や有識者らが議論した過程から「完全な満足はなくても納得してもらった」(震災伝承推進室)と説明する。
 地元のかどのわき町内会と17年8月に行った意見交換会も根拠の一つとし、「整備方針を示し、これで進めていいですかと確認した。了承されたものと認識せざるを得ない」(同)と主張する。
 対する住民側の認識は異なる。当時の街づくり協議会会長浅野清一さん(71)は「出席した検討会議で部分保存の意見が多かったのは確かだが、あくまでも検討会議の話で協議会とは別だ。協議会として了承はしていない」と指摘する。
 同町内会の本間英一会長(70)も「了承したとの認識はない。市は自分たちの都合の良いように勝手に解釈しているとしか思えない」と反発する。
 復興庁が示す「住民・関係者間」の範囲も揺らぐ。市は同庁への提出文書に「地域住民との協議を行い、住民合意100%を目指す必要がある」と明記。スケジュール表の備考欄では、住民説明会の対象を「門脇地区の住民」と記していた。
 市は現在、住民の範囲を当時より拡大して解釈し、「市の震災伝承拠点として整備するため、住民とは門脇地区だけではなく市民全体を指す」と説明。「そのため住民(市民全体)の100%合意を得ることは不可能である」との立場で事業を進める。
 遺構整備を巡っては全体保存を求める住民団体が2月に意向調査を実施。約8割が全体保存を支持しており、今月下旬にも結果を市や復興庁に提出する。


2019年03月08日金曜日


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