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<いわてを考える>第3部・復興施策(4)なりわい 被災事業所の8割超再開

昨年11月に倒産した大船渡市の水産加工大手「太洋産業」
大船渡商工会議所会頭・斉藤俊明さん

 東日本大震災の発生から間もなく8年となる。復興の歩みは都市基盤の再整備にとどまらず、文化や教育、観光振興と多方面に及ぶ。何が変わり、何が課題なのか。岩手県各地で復興の最前線に立つ人たちと考える。

 東日本大震災で被災した岩手県沿岸の企業は6割を超える。県の調査によると、再生を目指す事業所のうち、2018年8月現在で83.9%が再開にこぎ着けた。
 施設や道具を失った中小企業や小規模事業者の再建を後押しするグループ化補助金の利用は、191グループで計1525事業者に上る。復旧費の4分の3が補助され、総額890億円が投じられた。

<漁獲不振が壁>
 水産業の再生には漁獲不振が立ちはだかる。18年4〜12月の県内の水揚げ総量は8万4688トン、養殖水産量は2万4745トンで、ともに震災前の6割にとどまる。
 特産のホタテが震災で壊滅的な被害を受けた野田村は14年、村と生産者、漁協が外海で養殖する「荒海ホタテ」の水揚げを開始した。
 17年11月、県の海産物では初めて国が地域ブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」に登録。取引価格も震災前より3、4割上昇した。

<フェリー就航>
 仙台−八戸間(359キロ)をつなぐ三陸沿岸道の全線開通を見越して川崎近海汽船(東京)は18年6月、宮古市と北海道室蘭市を結ぶ岩手県初の定期カーフェリー「宮蘭フェリー」の運航を始めた。1月末までの利用実績は、旅客1万8816人(1便当たり50人)、トラック2209台(同6台)、乗用車4195台(同11台)。トラック利用が伸び悩んでおり、18年10月には週1便の運休と八戸へ寄港するダイヤ改正が行われた。

◎水産業の安定必須 大船渡商工会議所会頭・斉藤俊明さん(77)

 商店街の弱体化が問題視されていた地域を津波が襲い、根こそぎ奪われた。当初は衣食住の再建に必死で仕事やまちづくりまで考えられなかったが、時間の経過とともに今ではほとんどの事業所が再開を果たした。
 再開に当たって一番のネックは資金力だったが、グループ化補助金、二重ローン支援などの財政措置に多くの人が助けられた。仮設店舗を無料で使用できたことも大きかったと思う。
 ただ、人口減少で売り上げは減少傾向にある。平泉は県内最大の観光地だが、訪れる客の多くは松島や花巻、盛岡へと流れる。観光客を内陸から沿岸に呼び込む施策を打つ必要がある。
 水揚げ低迷による水産業の不振も懸念材料だ。昨年は大船渡市の大手水産加工「太洋産業」の倒産があった。漁獲量の減少で主力商品の組み替えを強いられたことが要因だった。
 三陸は基幹産業の水産業が安定しない限り、経済見通しも明るくならない。
 被災後に別の地域で商売を再開し、地元に戻らない人も多い。中心地には更地も目立つ。地元での商業再開だけではなく、外から来て商売を始めようとする事業者と土地の所有者を仲介することも今後、大事になる。


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2019年03月08日金曜日


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