広域のニュース

<スマホ決済元年>東北の現場から(下)連携 地域活性化 合言葉に

オリガミペイの導入を決めた焼鳥店の経営者(右)と打ち合わせする仙台銀の行員=2月25日、仙台市青葉区

 2019年は後に、「スマートフォン決済元年」と評されるかもしれない。消費税増税に伴うキャッシュレス決済のポイント還元が10月に始まり、利用者の増加が確実視される。現金払いが根強い東北でも、大手IT企業がQRコードによるスマホ決済のシェア拡大を急ぎ、地域金融機関は独自サービスを模索している。スマホ決済の将来像を追った。(報道部・高橋一樹)

 「キャッシュレスは若いお客さんにすぐ広がります」
 仙台銀行の中堅行員が1月下旬、仙台市中心部の焼鳥店を訪れ、熱心に経営者に説明した。売り込んだのは、スマートフォン決済サービスのOrigami(オリガミ、東京)が提供する「オリガミペイ」だ。
 仙台銀は2018年11月、オリガミと業務提携した。預金口座が直結され、宮城県内での「営業代理店」としての役割を担う。

<決め手は信頼感>
 ベンチャーのオリガミは、大手の楽天などとは違って事業展開するネットワークがなかった。そこで掲げた理念が「スマホ決済を核にした地域活性化」だ。メガバンクがスマホQR決済を始めて地銀と連携する前から、積極的に地域金融機関との連携を進め、ネットワークを築いた。
 東北では青森、みちのく(青森市)、仙台の3行に加え、6県の全27信用金庫ともタッグを組む。
 地域に根差した行員・職員の信頼感も強みになる。オリガミの伏見慎剛事業開発ディレクターは「地元の飲食店経営者らにとって誰がスマホ決済を売り込んだのかが重要。金融機関の協力は欠かせない」と話す。
 東北で初めて連携した青森銀とは18年8月、青森ねぶた祭に合わせて加盟店の商品を割り引くキャンペーンを実施。12月にはJR東日本の協力で実証実験を始め、青森県内の加盟店は300を超えた。
 それでもまだ大手に比べて全国の加盟店は少なく、手数料も高い。だが地銀と信金の期待は揺るがない。
 仙台銀本業支援室は「祭りやイベントと連動するなど地域密着の事業を展開しており、地銀と手を組みやすい」と評価。青森銀地域振興部も「売り上げ増に結び付いていないが、取り組みを続ける」との姿勢だ。

<訪日客取り込み>
 東京や大阪の小売店などでスマホQR決済が急拡大した要因は、既に普及していた中国からの訪日客の消費を取り込むためだった。ここ数年、訪日客が増え始めた東北でも規模は小さいが、同様の下地が芽生えている。
 秋田港にクルーズ船が来航し、中国からの訪日客が増えた男鹿市。秋田銀は18年7月、市内のバスとタクシー会社にCoiney(コイニー、東京)の決済サービス導入を働き掛けた。中国の「ウィーチャットペイ」で運賃を払えるようになった。
 花巻−上海間の定期便就航から間もない今年2月、岩手銀は観光関連事業者のスマホQR決済の導入を促進するため、凸版印刷(東京)との連携を発表した。同社は店舗レジの導入システムや外国人向け観光サービスで実績がある。
 スマホ決済事業者と連携して担う顧客支援と地域活性化。キャッシュレス化の進展とも相まって、20年代には地域金融機関の新たなビジネスモデルとなる可能性もある。


関連ページ: 広域 経済

2019年03月08日金曜日


先頭に戻る