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<縮小の先へ 被災地と人口減>第2部 生活・教育(1)小中学校/戻らぬ児童、深まる苦悩

山木屋中との一貫校として地元で授業を再開した山木屋小は、3月いっぱいで休校となる見通しだ=福島県川俣町

 人口が減る。地域を支える担い手が足りない。人口減少局面で起きた東日本大震災は、過疎化や少子高齢化を加速させた。震災から間もなく8年。縮む被災地の先に広がる風景は−。「生業(なりわい)」「生活」「インフラ」の三つをキーワードに、先鋭化する課題に向き合い、模索する姿を追った。 人口が減る。地域を支える担い手が足りない。人口減少局面で起きた東日本大震災は、過疎化や少子高齢化を加速させた。震災から間もなく8年。縮む被災地の先に広がる風景は−。「生業(なりわい)」「生活」「インフラ」の三つをキーワードに、先鋭化する課題に向き合い、模索する姿を追った。

 子どもたちの元気な声が地域に戻る−。住民たちが1年前に抱いた期待が厳しい現実にさらされている。

<6年生5人だけ>
 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2017年春に解除された福島県川俣町山木屋地区。山木屋小は3月いっぱいで休校となる見通しだ。
 同校は事故後、町内の他地区に移転。昨春、山木屋中との一貫校として地元で授業を再開したばかりだ。
 約13億円をかけて改修された校舎に通うのは現6年生5人だけ。新入学や転入希望者はなく、新年度は在籍ゼロになる。
 10年度に児童は70人いた。子どもたちをつなぎ留めるため、町教委は手を尽くしてきた。「少人数のきめ細かな指導」「豊かな自然環境」。特徴をアピールし、町内の学区外からの就学も認めた。
 「子育て世帯が帰還しない」と佐久間裕晴教育長。避難先での暮らしが当たり前になり、「『あえて戻る』という選択がなくなってきた」と語る。避難先と結ぶスクールバスも「長時間の登下校が不安」と訴える保護者もいる。
 高齢者が多い帰還者の心中は複雑だ。福島市の避難先から戻る準備をしている男性(69)は「古里で学ぶのが一番だとは思うが、親の身になれば放射線量などに不安があるのは当然だ」と話す。別に暮らす息子一家は小学2年の孫も含め福島市内にとどまるという。
 正念場はさらに続く。現6年生は全て地区外の中学校に通う予定だ。新年度の山木屋中は新3年生3人だけになり、小中の全面休校の危機が迫る。佐久間教育長は「諦めずに山木屋で学ぶ魅力を発信し続けるしかない」と言葉を振り絞る。

<「再編やむなし」>
 東日本大震災の津波被災地も児童の減少に直面する。
 住民が震災前の約7割の約1万2000人に減った宮城県山元町。町教委は昨年12月、小中学校を再編する方針を決めた。
 21年度をめどに中学2校を1校に、10年後を目安に小学4校を1校に−。住民ら20人による検討委員会が1年間の議論を経てまとめた提言に沿った。
 中学校の再編は「仕方がない」という雰囲気があった。小学校は「特に年配の区長に『地域の核だ。いじるな』という声が強かった」(委員)という。
 検討委の空気は昨年3月、住民アンケートの結果が出て変わった。望ましい1学年当たりの学級数は「2学級程度」が58.5%に上り、「1学級程度」を40ポイント以上も上回った。
 町内の児童数(18年4月時点で456人)は6年後に407人に減り、学校によっては複式学級が生まれる可能性も判明した。
 菊池卓郎教育長は「今でもクラス替えができる小学校はない。厳しい数字と住民の意向が流れを変えた」と説明する。
 小学校が1校になっても「児童が各地域の住民と触れ合う仕組みをつくる」とも語るが、南北に12キロにわたる町で校舎をどこに置くのかなど課題は山積みだ。
 コミュニティーの中核を担ってきた学校の未来像をどう描くのか。少子化が先行する被災地の苦悩が一段と深まる。


2019年03月08日金曜日


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