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<仙台短編文学賞>大賞に選ばれた綾部卓悦さん/震災を「外から目線」で

 「信じ難い出来事だけど、僕の人生に大きな意味を持つ。きっかけと自信を与えてもらい、心から感謝しています」。受賞の知らせにこんな思いがこみ上げた。
 大賞の「ビショップの射線」は、東日本大震災の被災地で暮らす微妙な息苦しさを描いた。被災者とされることに違和感がある女子高校生。街の空気に復興支援の圧力を感じ取る青年。チェス仲間である2人の盤上の駆け引きに、高校生の気付きを重ね合わせた。
 「震災で起きた悲しい出来事はたくさん書かれている。当事者じゃないから痛みは分からない。転勤者の『外から目線』で感じたことを表現したかった」
 仙台に暮らしたのは、外資系IT企業のシステムエンジニアとして東京から越してきた2017年10月から1年半ほど。復興に対するネガティブな印象の記述には「バッシングを受けるかもと心配でした」。だがその率直なテーマ設定が、震災8年目のリアルを伝える新たな視点の小説表現と評価された。
 「小学生の時から休み時間は図書館にいた」という本好き。高崎経済大卒業後、6年で作家になる目標を立てた。既存のアニメの世界観とキャラクターを借りた二次創作の分野で小説修業を開始。「そろそろ完全オリジナルを」と決めた頃、書店で文学賞公募のポスターを目にした。照準を定め、初めての小説で大賞を射止めた。
 「ミステリーが好きなので今年中に長編で何かの文学賞に応募します」。次の挑戦は始まっている。
 前橋市出身。現在は都内の求人広告会社勤務。28歳。


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2019年03月09日土曜日


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