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<いわてを考える>第3部・復興施策(5完)まちづくり 一部工事は20年度まで

釜石花巻道路で3日にあった一部区間の開通式
岩手大理工学部教授 南正昭さん

 東日本大震災で被災した岩手県沿岸12市町村の復興まちづくり事業は、2018年末で89.1%が完了した。
 土地区画整理事業は、7市町村4911区画のうち4114区画(83.8%)が完成した。漁業集落防災機能強化事業は11市町村465区画全てで工事を終えた。
 県北部を中心に整備は仕上げの段階にあるが、被害の大きかった陸前高田市は、復興・創生期間が終了する20年度末まで工事が続く見通しだ。

<2089区画が完了>
 防災集団移転促進事業は、7市町村2103区画のうち2089区画(99.3%)が完了した。
 県内最大規模となる宮古市田老地区の三王団地は、15年10月に宅地部分159区画の造成を終えた。山を切り開いて高台に約25.4ヘクタールを整備する大工事は、日本に数台しかない特殊な掘削機械を投入するなど最新の土木技術により、工期の半年前倒しを実現した。
 災害公営住宅や医療施設、保育所といった施設も整い、既に約220世帯が転居した。

<交流活性化へ>
 三陸沿岸道は仙台−八戸間359キロのうち252キロが開通する。岩手県内は213キロのうち122キロが通行可能になる。
 内陸部と沿岸部を結ぶ釜石花巻道路は9日、79.5キロが全線開通する。釜石市から花巻市までの所要時間は約80分で従来の3分の2に短縮され、観光や物流の活性化が期待される。

◎住民と行政一体で 岩手大理工学部教授(都市計画学)・南正昭さん(54)

 社会基盤の復旧は全ての復興事業の土台と言える。他の事業を先導していく役割を担ってきた。だが、大規模な区画整理や防災集団移転事業は個人の土地や財産に関わるので、どうしても時間がかかってしまう。
 震災では、国や県、住民の努力で合意形成や技術的課題を解決し、平常時では考えられないスピードで事業を進めてきた。社会基盤の整備を待つ被災者は長く感じただろうが、一連の取り組みに前向きな評価を共有したい。
 復旧には時間制約があり、行政主導で進めざるを得なかったので、不足や不満を感じる人もいるだろう。その問題意識を後悔にとどめず、建設的な方向や実践に結び付けてほしい。
 社会基盤は整備して終わりではなく、基盤の上に新しいまちをどう形作るかが大切だ。住民の発意と行動がないとまちづくりは完成しない。復興の過程で培った経験や知識、つながりを生かしながら住民と行政が一体になって進めたい。
 三陸沿岸道の開通は、時間の短縮とネットワークの多重化という二つの効果が期待される。
 仙台に人が流出する「ストロー現象」の懸念もあるが、逆に仙台空港から観光客を呼び込んだり三陸の水産物を巨大市場に売り込んだりする好機と捉えたい。マイナス要素を上回るプラス効果が生み出されるような方策が必要になる。


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2019年03月09日土曜日


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