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<縮小の先へ 被災地と人口減>第2部 生活・保育(2)高校/唯一の受け皿存続危機

山田高3年生が地域を歩いて発見した課題や解決策を提言した「ふるさと探究高校生議会」=山田町議会議場

 東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県山田町で、地元唯一の高校が再編の荒波にもまれている。

<再編計画に反対>
 山田高の生徒は2010年度から半減し111人。それでも及川研一校長(58)は「震災後に入学した子どもたちは『地域のために』という意識が強い」と胸を張る。
 山田町議会議場で1月、「ふるさと探究高校生議会」があり、山田高の3年生33人が地域を1年かけて歩いて探った課題を報告した。高校生議会は、地元密着型の教育で独自色を出すのが狙いだ。
 登壇した9人の中で、佐々木茉祐(まゆ)さん(18)は災害公営住宅の空室に着目し、地域コミュニティー形成のための利活用を提言した。「将来は町職員として復興に貢献したい」と夢を描く。
 岩手県教委によると、昨年3月の県内の中学卒業生は1万1379人。過去20年で6000人以上減った。25年には1万の大台を割り込む見通しだ。
 中学卒業生の減少は、高校の縮小・再編に直結する。県教委は16年度から新たな県立高校の再編計画を進め、前期計画(16〜20年度)で、山田高の学級数を19年4月から現行の2を1に削減する方針を示した。
 学級減は高校存続の危機につながりかねない。同窓会やPTAは昨年、町民集会を2回開き、再編反対ののろしを上げた。
 佐藤宏光同窓会長(65)は「1学級になれば存続問題に発展する。ボート部など全国レベルの部活動もある。高校がなくなれば町の活力が失われる」と懸念する。
 本年度の入学生(定員80人)は地元の働き掛けが実り、前年度比24人増の52人。学級減こそ免れたが、19年度の志願者数は30人台にとどまる。再編計画以前に、入学者減による1学年1学級が現実味を帯びる。

<定員割れ常態化>
 宮城県南三陸町唯一の高校、志津川高も深刻な生徒減に悩む。10年度の413人が18年度は201人に半減し、1学年120人の定員割れが常態化している。
 震災前から在職する武山秀一教諭(53)は「少子化による生徒減に震災が追い打ちをかけた。大学を目指す中学生は近隣の進学校に流れている」と解説する。
 志津川高の生徒は大半が町内の志津川、歌津両中の卒業生だ。ただ、この2校からの進学率は約5割にとどまる。
 町は17年、地元唯一の高校の存続に危機感を抱き、公営塾「志翔学舎」の設置を支援した。町が運営費を負担し、NPO法人の講師3人が放課後に学習支援に当たる。タブレット端末を使った予備校講師による映像授業も導入した。
 本年度の入学者は前年度比7人減の63人だが、武山教諭は「志翔学舎があるから入学した生徒もいる。無ければもっと減っていた」と推測する。
 宮城県教委によると、気仙沼・本吉地区の中学卒業生は10年後に3割減る見通しだ。葛西利樹校長(56)は「少ないパイの奪い合いがさらに激化する」と危機感を強め、地域住民が学校運営に参画するコミュニティースクールの導入を視野に入れる。
 被災地で加速する人口減は、高校をものみ込もうとしている。


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2019年03月09日土曜日


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