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<再生の針路>漁業の付加価値高める/女川町 須田善明町長

町内でアイドルのライブが開かれ、全国のファンでにぎわった中心部。関連イベントに地元事業者らが協力した
須田善明町長

 宮城県内で9542人が亡くなり、1220人が行方不明になった東日本大震災から間もなく8年になる。国の復興・創生期間の終了まで残り2年。津波で被災した沿岸部の社会資本整備は仕上げの段階に入ったが、被災者のなりわいや生活の復興の進み具合は地域によって、ばらつきが大きい。沿岸自治体の首長に、復興の状況や課題などを聞いた。

◎震災8年 被災地の首長に聞く(14)

<地域の共助 復活>
 −町の復興計画期間は本年度で終了する。
 「整備に時間を要した宅地の引き渡しが完了し、生活に不可欠なインフラはおおむね整備した。公園整備や浦宿地区の雨水排水対策など引き続き行う事業もある」
 「心のケア(の問題)は生活再建が一定程度進んだ6、7年目に表出した。行政と地域によるサポートが必要であり、コミュニティーによる共助の力の復元に取り組んできた」

−人口は震災前比で約35%減った。町は活動人口の拡大に力を入れている。
 「町内にコア(中核)となるプレーヤーは増えてきた。今までは仕掛け作りが主体。これからは町民や来訪者に、まちをどう使ってもらうかが重要になる」

−2015年12月に開業したテナント型商業施設「シーパルピア女川」ではこれまで4事業者が退去、新たに5事業者が出店した。
 「大切なのは入れ替えができるかどうかだ。女川で事業をやる意味を見いだしてくれる出店者がおり、期待した効果が生まれている。(本年度の県地価調査で)商業地の地価は約2%上昇した。経済的な価値が認められてきている」

 −基幹産業の水産業は苦境が続く。
 「行政ができるのは漁業者が安心して操業できる環境整備。その一環で漁業共済の加入補助をしてきた。もう少し続けるつもりだ」
 「昨年、ナマコの増殖を目指し東北大大学院農学研究科と連携協定を結んだ。花が開けば漁業者の利益につながる。漁業者とプロジェクトを起こし付加価値を高めることが可能になる」

<公民連携が必要>
 −東北電力女川原発1号機の廃炉が決定し、町は10年間で10億円超の減収と試算した。
 「電源立地対策交付金は主に住民サービスに充てていた。公共的な機能やサービスを維持するには、事業の在り方の見直しや効率化を考えていかなければならない。公民連携のアプローチが必要になるだろう」

−ポスト復興の展望は。
 「震災後、セクターにかかわらず課題や方向性を共有し、それぞれが役割を果たせるようになってきた。その形を継続・拡大し、プレーヤーをどう増やしていくかが鍵になる」
 「女川のまちづくりの在り方は、さまざまな場面で取り上げられてきた。これからの地方に必要なものを生み出してきたからだと思う。この経験をどう生かし切っていくかが重要だ」
(聞き手は石巻総局・関根梢)


2019年03月10日日曜日


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