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<仮設の歌姫>笑顔届け1000回 大阪出身の奥野さん、岩手で慰問活動 あえて派手な衣装「一瞬でも被災忘れて」

1000回を数えた奥野さんの慰問公演

 東日本大震災の被災者に元気な歌声を届け続ける大阪出身の歌手奥野ひかるさんが、大船渡市の仮設住宅で1000回目の慰問公演に臨んだ。人呼んで「仮設の歌姫」。岩手から始まった笑いあり涙ありの仮設住宅コンサートは、熊本地震の被災地など全国に広がっている。

 1000回目の公演は4日、同市の長洞仮設住宅団地であり、ファン約40人が集まった。被災者との交流から生まれた民謡、ロック、バラードなどの7曲を披露。奇抜な衣装と軽妙なトークで観客を沸かせた。
 奥野さんの慰問公演が始まったのは2012年。「一瞬でも被災したことを忘れてほしい」と、あえて派手な衣装に身を包んで岩手県内の仮設団地を訪ね歩いた。
 ふさぎがちだった被災者が「被災後、初めて笑った」「死のうと思うのがばかばかしくなった」と笑顔を取り戻し、着飾って集まるようになった。一時は大船渡市の仮設住宅に間借りまでして被災地で活動した。
 進まない復興を目の当たりにして慰問活動をやめようとした時期もある。そんな時に出会ったのが、震災で娘を亡くしたある母親だった。
 後を追いたいと言う女性に「私の分まで生きてほしい」と娘の思いを込めた歌を贈った。
 奥野さんは「皆さんの『生きて待ってるよ』という言葉に応えたい一心で続けてきた。逆に応援してもらい、感謝しかない」と振り返る。
 被災地では仮設住宅からの退去が進む一方、再建された地域や災害公営住宅でも新たな孤立などが問題化している。1000回は通過点。これからも被災地の人々に歌と笑いを届け続ける。


2019年03月10日日曜日


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