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<東北の本棚>夢をかなえた40代主婦

「南極ではたらく」 渡貫淳子

南極ではたらく 渡貫淳子 著

 子育て中の40代の主婦が一念発起し、南極料理人になる夢をかなえた。第57次南極地域観測隊(2015年12月〜17年3月)に参加した著者が、昭和基地で隊員30人の食事を作る日々をつづった。
 南極での調理は工夫と節約が求められる。調理隊員は1年分の食料30トン、2000品目を事前に準備し、南極観測船「しらせ」で昭和基地に運び込む。任期中の追加補給はない。新鮮な生野菜が常に不足し、使える水の量も限られる。生ごみは焼却し、全て日本に持ち帰らなければならない。
 食品ロスを避けるため、毎週金曜はカレーライス。コーヒーからラーメンのスープまで余った汁物を投入し、後日ドリアやスープにリメークした。残りご飯に天かすと麺つゆ、アオサノリを混ぜた「悪魔のおにぎり」は隊員の間で病みつきになると評判になり、後にコンビニのヒット商品になった。
 2度の公募落選や家族を日本に残す後ろめたさ、周囲の「自分勝手」という声。隊員になるまでさまざまな壁があったが、著者は意志を貫いた。勇気を出して任務を達成した後には「ゆるぎない自信が生まれた」という。年齢や環境を言い訳にせず、夢に向かう姿がすがすがしい。
 著者は1973年八戸市生まれ、調理師。
 平凡社03(3230)6573=1512円。


2019年03月10日日曜日


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