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<東北の本棚>快進撃の舞台裏明かす

手倉森誠著「4年8カ月の激闘」

4年8か月の激闘 手倉森誠 著

 自らを「非エリート指導者」と言う著者が、国の威信を背負って戦う使命を全うした軌跡を振り返った。表題の「4年8か月」の間、サッカーで日本を2016年リオデジャネイロ五輪出場に導き、日本代表コーチとして昨年のロシア・ワールドカップ(W杯)で2大会ぶりのベスト16入りを果たした。「自分の経験を個人的な財産にしてはいけない。『書きたい』ではなく、書き残さなければならないだろう」と強い思いを筆に乗せた。
 下部リーグから日本代表の指導者まではい上がった。09年に当時J2だった仙台を優勝、J1昇格に導き、東日本大震災を乗り越えて12年にはクラブ史上最高の2位でアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得した。日本サッカー協会に手腕を評価され、14年からU−21(21歳以下)代表監督に就任。「谷間の世代」と悲観的な見方をされていた選手たちに闘争心と自信を植え付け、リオ五輪予選を勝ち抜いた。並行して日本代表コーチとして3人の監督に仕え、チームをまとめ上げた。
 華々しい成果の陰には度重なる苦悩があった。リオ五輪では海外でプレーする選手の招集を所属チームに拒否されたのが響き、結果的に予選リーグで敗退。日本代表ではハリルホジッチ元監督の指導に戸惑う選手に代わって直接意見をぶつけた。元監督がロシアW杯前に解任された混乱も収め、チームを再び一つにした。
 圧巻なのはロシアW杯の戦いの内幕。1次リーグの初戦では強豪のコロンビアを的確なポジション修正で破り、3戦目のポーランド戦では他会場の試合経過を見ながらボールを回し続けさせて決勝トーナメント進出を決めた息詰まるようなベンチワークを明かした。手に汗握るような展開は「激闘」と呼ぶにふさわしい。
 著者は1967年青森県五戸町生まれ。今季からJ2長崎の監督を務める。
 KADOKAWA03(5215)7815=1620円。


2019年03月10日日曜日


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