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<震災8年>住民85人犠牲 いわき・豊間で慰霊碑除幕

知人と慰霊碑を見詰める鈴木文子さん(右端)。かつての豊間の風景も刻まれている

◎「孫、立派に育ったよ」鈴木さん 息子夫婦に報告

 東日本大震災の津波で住民85人が犠牲になったいわき市平豊間地区で10日、追悼式が営まれ、慰霊碑が除幕された。一人息子夫婦を失った鈴木文子さん(75)は孫と歩んだ8年を振り返り「あっという間。立派に育っているよと報告したい」と声を詰まらせた。
 息子夫婦は、文子さんが女手一つで育てた克典さん=当時(42)=と妻の久美子さん=同=。外出先から帰宅しようとして、隣の薄磯地区で津波にのまれたとみられる。
 残された子どものうち高校3年だった長男貴博さん(26)は東京都内に就職。文子さんと高校1年だった次男聖史さん(23)との2人暮らしが始まった。
 無我夢中。無口な孫に戸惑いながら愛情を注いだ。
 聖史さんは高校卒業後、市内の高齢者介護施設に就職した。建て替えた自宅で現在も一緒に暮らす。「今はうるさいぐらい、いろんな話をしてくれる」
 文子さんは心の隙間を埋めるように水彩画を始めた。今年6月に個展を開けるまでになり、歳月の重みもかみしめている。
 慰霊碑は高さ約1.6メートル。地元行政区が昨年7月に完了した土地区画整理事業の区域内の交流広場に建てた。犠牲者数として刻まれた「八幡町北16人」に息子夫婦は含まれる。
 追悼式には約300人が参列。聖史さんも会場に足を運んで献花した。
 「孫たちが結婚するまでは見守るよ」。文子さんは慰霊碑に向き合い、息子夫婦に約束した。


2019年03月11日月曜日


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