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<震災8年>仙台市内の住宅価格高止まり 被災地からの移転落ち着く

新築の一戸建てが並ぶ荒井西地区。震災後に開発が進んだ=仙台市若林区

 東日本大震災から8年がたち、仙台市内の住宅市場が新局面を迎えている。津波被災地からの移転需要が落ち着き、震災後続いてきた住宅価格の高騰に一服感が出てきた。高止まりした住宅は多くの消費者にとって手が届かない存在となりつつあり、価格を抑えるため物件のコンパクト化、周辺自治体への転出も盛んになった。(報道部・水野良将)

<地下鉄沿線人気>
 広大な田園地帯が、震災を経て人気の住宅地に生まれ変わった。
 震災後、土地区画整理事業が本格化した仙台市若林区荒井東、荒井南、荒井西の3地区。津波で自宅を失った被災者ら6000人超が暮らしている。
 2015年の市地下鉄東西線開通に伴い、近くに荒井、六丁の目両駅ができると住宅価格はさらに上昇した。積水ハウス仙台支店の麻川豊支店長は「現在の受注は被災していない一般の顧客が大半」と話す。
 不動産業界の関係者によると、荒井駅周辺の土地と新築一戸建ての相場は大手ハウスメーカーの場合、4000万円台半ばから5000万円台。市地下鉄南北線の富沢駅周辺でも震災後に宅地開発が進み、同様の相場だという。
 あるハウスメーカー関係者は「現在の荒井や富沢の物件の価格帯は、震災前ならば仙台を代表する高級住宅地の泉パークタウンとほぼ同水準」と明かす。

<中心部1億円超>
 仙台では震災後、被災地からの移転も含めた復興需要が高まったため全国から不動産業者らが進出し、競って土地を購入した。国の低金利策なども重なり、住宅価格は高騰。中心部のマンションは1億円を超える部屋も珍しくなくなった。
 宮城県不動産鑑定士協会は11年6月以降、不動産市場動向指数(DI)をまとめている。仙台での取引価格が半年前より上昇したかどうかを示す18年12月のDIは11.1で、同年6月に比べ3.5ポイント下落した。
 13年6月比では、27.6ポイントの低下になる。協会の震災土地評価特別委員会の浜田雄一委員長は「価格上昇の勢いが弱まる一方、一般の購入希望者には手の届かない水準に近い。家を建てれば売れるという状況ではなくなった」と分析する。
 住宅価格の高止まりを受け、土地を分割して建物の面積を小さくし、総額を抑えた一戸建てが主力商品となっている。マンションもコンパクト化が進む。住宅ローンの金利が低いことを踏まえ、頭金なしで3000万円台の郊外の建売住宅を買う20代の顧客が増えているという。

<岩沼も9.4%上昇>
 18年度の基準地価(7月1日時点)によると、名取市や利府町など仙台周辺の9市町村は子育て世帯が持ち家を求め仙台から流入した影響で平均2.6%上昇した。岩沼市松ケ丘2丁目は9.4%。宮城県内の上昇率上位10地点に入った。
 仙台の住宅事情に詳しいコンサルタント会社のシーカーズプランニング(仙台市)の佐々木篤社長は「今後、共働き世帯や高齢単身者の増加などに伴い新たな住宅需要が生まれる。震災後の変化に応えるまちづくりと不動産の利用が求められる」と強調する。


2019年03月12日火曜日


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