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<震災8年>どんな状況でも慌てず落ち着いて判断を Jリーグ審判目指す

古巣ソニー仙台の練習試合で審判を務める瀬田さん=ソニー仙台グラウンド

 10日、多賀城市のソニー仙台グラウンド。瀬田さんは古巣の練習試合で笛を吹いた。接触プレーで選手が倒れると迷わず試合を止める。「開幕1週間前だからけがは絶対禁物。選手第一です」。黒いユニホームが厳然としたジャッジを際立たせていた。
 大学サッカーの強豪・東京学芸大から2008年ソニー仙台に加入。冷静な判断力と統率力でボランチとして活躍した。天皇杯ではJ1の仙台や鹿島を破る大金星を挙げた試合にも出場した。
 震災は初めて主将として迎えるシーズンの開幕直前に起きた。選手が勤務するソニー仙台テクノロジーセンターは2メートルほどの津波が押し寄せ、壊滅的な被害を受けた。ブルーレイディスクなどを製造する工場は生産をストップ。サッカー部も活動を停止した。
 明日が見えない日々。心の支えとなったのはやはりサッカーだった。復旧作業の傍ら、避難所になっていた小学校で教室を開いた。笑顔でボールを追い掛ける子供の姿に勇気づけられた。
 「サッカーでみんなを元気にしてほしい」。瀬田さんは同僚の一人から言われた言葉が今でも忘れられない。チームは5月に練習を再開。7月からリーグ戦に復帰している。
 15年はリーグ制覇も成し遂げた。Jクラブも破った。まだ現役を続ける自信はあるが、体が動くうちに審判を目指す決意をした。今年4月からは東京の本社に所属し、J1の試合の笛も吹ける1級審判を目指す。
 審判の心得の一つは安全に試合を終わらせること。「震災を乗り越えた経験を生かし、どんな状況でも慌てず落ち着いて判断を下せる審判になりたい」。被災地への思いを胸に、第二のサッカー人生を歩み始める。
(山本武志)


2019年03月12日火曜日


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