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<震災8年>強く育て石巻に元気 リトルシニアの監督に就任しチーム再生へ

対話重視した指導を大事にする小野寺さん(右)=石巻市の室内練習場

 一人の野球人がチームを再生させる。小野寺さんは選手ゼロだった石巻リトルシニアの監督に就任。新1年生13人を集めて活動を再開させた。「強いチームにすることが恩返し。野球で石巻を元気づけたい」と熱意を見せる。
 小野寺さんは宮城・東北高を経て1998年に日本製紙石巻に加入。2010年は4番一塁手としてチームを都市対抗野球初出場に導き、その年限りでバットを置いた。
 震災は引退の翌年。小野寺さんは高台の社宅にいて無事だったが、宮城県南三陸町の実家は津波で流失。会社も甚大な被害を受けた。
 がれき撤去に泥かき。果てが見えない復旧作業の中、構内で1本の金属バットを見つける。新聞紙を丸めてボールにした。休み時間に、投げて、打った。
 「生きるのに精いっぱいだった当時を思えば不謹慎かもしれない。でも、楽しかった。笑顔になれた」。野球の楽しさを子供たちに伝えようと、秋に長男が所属していた小学生チームのコーチに。14年からは監督を務めた。
 石巻リトルシニアの苦境を聞いたのは昨年。かつては県内の強豪高校に選手を輩出していたが、野球離れや少子化の影響もあって選手は減少の一途をたどる。昨夏に3年生が引退し、所属選手はとうとうゼロになっていた。
 存続の危機に野球人の血が騒いだ。「石巻の野球文化を絶やしたくない」。監督就任を申し出て、築いてきた人脈を生かして選手集めに奔走した。今年2月には古巣の後輩を呼んで教室も開いて機運を盛り上げた。
 6月の公式戦出場が当面の目標だ。「選手時代は多くの人に支えてもらった。震災後は助ける番だと思ってやっている」。目指すは常勝軍団−。心意気が勇ましい。(大谷佳祐)


2019年03月12日火曜日


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