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<震災8年>被災地の建設業者 復興需要反動減へ地固め

2月16日に開通した宮城県気仙沼市本吉町の三陸道

 東日本大震災に伴う復興事業が最終盤を迎え、被災地の建設業者が震災需要の反動減に備えた対応に迫られている。復興事業の完了後は、倒産が相次いで「冬の時代」と言われた震災前を上回る厳しい事業環境も予想される。危機感を募らせる各社は人件費削減や新たな収入源確保を進め、企業体力の強化を目指している。(報道部・高橋公彦)

<給与維持が課題>
 国が復興道路と位置付ける三陸沿岸道の建設が被災した気仙沼市の山あいで進んでいる。計画延長359キロのうち今月21日までに71.3%が開通し、宮城県内の未開通区間は市内の約11キロのみとなる。
 一部区間の工事を請け負う武山興業(石巻市)は震災後、他にも復興事業を担いピークの売上高が40億円を超えた。しかし今期は工事の完了などに伴い、30億円を割り込む見通しだ。
 武山徳蔵会長は「震災から10年後の2021年には売上高はさらに30〜40%減る。その中で、社員の給与をどう維持していくかが課題だ」と明かす。
 将来、同社の売上高は震災前の15億〜20億円を下回る可能性があるという。情報通信技術(ICT)の活用に加え、道路や橋などインフラの維持・管理業務の受託拡大を進め、減収に備える方針だ。
 東京電力福島第1原発事故後に各地で増設された太陽光発電施設にも着目、同市北上町の山間部に整備した。16年に稼働し、本業の売上高が10億円を割った場合でも売電収入で雇用を維持できる体制を整えた。

<会員企業は半減>
 東北の公共事業費は1998年の4兆5562億円をピークに震災前までに3分の1に減り、業者の倒産が相次いだ。生き残った業者も大規模なリストラを実施せざるを得ず、地域経済衰退の一因となった。
 震災後、被災3県の業者の多くは売上高が急増しても復興需要の収束を見越して過剰投資を控えた。武山興業も人手不足に悩まされたが、60歳で定年退職した社員約10人を継続雇用してしのいだ。
 武山会長は「阪神大震災の教訓で、復興事業がなくなると売上高がピークから半減すると知っていた。建設業は災害時に地域の守り手になる。収入が減っても生き残る努力をしなければいけない」と語る。
 東北建設業協会連合会は18年、東北経済連合会などと連携し、防災・減災や地域経済の活性化につながる社会資本整備の要望活動を本格化させた。震災では国道45号が寸断され、三陸道が「命の道」となって復旧に貢献したことを訴えた。
 一方、宮城県建設業協会の会員企業は現在約260社で、最盛期に比べ半減した。今後、公共事業の減少による経営悪化に加え経営者の高齢化、若者の採用難といった理由でも廃業が相次ぐ恐れがある。
 協会の西村博英専務理事は「各地で頻発する災害に備えるためインフラ強化は不可欠。さらに会員企業が減ってしまうようでは、次の災害で必ず復旧復興に影響が出る」と指摘する。


2019年03月13日水曜日


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