宮城のニュース

<縮小の先へ 被災地と人口減>第3部 インフラ 地域の足(2)BRT/増えぬ利用客 減便懸念

高校生の足として不可欠なBRTだが、一般客の利用は伸び悩む=8日午前7時30分ごろ、気仙沼市四反田の不動の沢駅

 東日本大震災の被災地で、住民の生活に欠かせない交通機関や公共施設の復旧復興が急ピッチで進められている。将来に向けて維持できるのか。利活用は計画通りに進むのか。加速する人口減少を前に、被災地の試行錯誤が続く。第3部は「インフラ」をキーワードに課題に向き合う姿を追った。

 朝7時半。気仙沼市のJR気仙沼線バス高速輸送システム(BRT)の駅「不動の沢」に、気仙沼高生が次々と降り立つ。
 同市本吉町の1年三浦甲斐さん(16)は毎朝、約40分間バスに揺られ、通っている。東日本大震災時は小学2年生。鉄路だった気仙沼線に乗ったことはなく、「BRTの不便さは感じない」と話す。

<高校生に不可欠>
 同校生徒の約4分の1に当たる198人がBRTで通学する。本数は鉄道時代の約3倍に増え、高校生にとって欠かせない交通機関となった。
 市は2016年3月、JR東日本が提案した気仙沼線のBRTによる本格復旧を受け入れた。3年がたち、地域の足として定着したが、鉄道時代に比べ利用客は大幅に減った。17年度の柳津(登米市)−気仙沼間の1日平均利用客は264人で、鉄道だった10年度の3割にとどまる。
 JR東日本が17年11月に設置した気仙沼市立病院駅は、市の要望でできた。同市長磯下原の女性(75)は陸前階上−気仙沼市立病院間を毎日利用する。入院する夫(78)の見舞いのためで「運転免許がなく、BRTがなくなったら来られなくなる」と明かす。
 市立病院駅はBRTの専用道から1キロ以上離れた場所にある。1日の平均利用客は15人程度。同駅への運行を「実証運行」と位置付けるJRは「利用客数を踏まえ、今後の方針を決める」(盛岡支社)と駅の廃止も否定しない。
 気仙沼市は震災後、人口が1万以上減った。少子化も進み、大幅な利用客増は見込めない。市の担当者は「JRも民間事業者。利用客が増えなければ減便の可能性もある」と危機感を募らせる。

<大きなハンディ>
 河北新報社による被災3県の計42市町村長を対象にしたアンケートで、5割近い首長が人口減対策として「交流人口の拡大」を挙げた。鉄路を失った地域は大きなハンディを抱える。
 「乗り遅れたようで寂しい」。陸前高田市観光物産協会のスタッフが漏らす。
 23日に開業を控えた第三セクターの三陸鉄道リアス線。宮古−釜石間(55.4キロ)がJRから移管され、全国の三セクで最長となる久慈−盛(大船渡市)間163キロが1本のレールでつながる。
 陸前高田市内を走るJR大船渡線は津波で被災後、BRTで復旧された。市は岩手県沿岸部で唯一、鉄道が走らない市町村になる。
 JR東日本は4〜6月の3カ月間、岩手県内を重点販売地域に指定した。三鉄に直通列車を走らせるほか、県内各地でSLやリゾート列車を臨時運行するがBRT区間に計画はない。
 市の担当者は「BRTは域内交通としては定着したが、首都圏の人々の認知度は低い。利用しづらいイメージではないか」と課題を指摘する。
 同じように鉄道がない宮城県南三陸町の南三陸ホテル観洋が今年1月、社員旅行の一環で三陸鉄道沿線の盛り上がりを視察した。
 おかみの阿部憲子さん(56)は「鉄道があるとないとでは人の流れが違った。大量輸送できる鉄道を失った影響はやはり大きい」と指摘した。


2019年03月14日木曜日


先頭に戻る