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<女川再稼働>住民投票条例案否決 宮城県議会、増す責務 県民意見幅広く反映を

 宮城県議会に提出された東北電力女川原発2号機再稼働の是非を問う住民投票条例案は、自民党会派などの反対多数で否決された。再稼働の地元判断に、県議会は住民投票によらず責任を持つと意思表示したに等しい。議会制民主主義の担い手としての責務が重みを増したことを自覚すべきだ。
 市民団体の直接請求が実現した背景には東京電力福島第1原発事故以降、再稼働に慎重な世論がある。署名数は県内有権者の5.75%と、先行した新潟県や静岡県を超え、県民の関心が高かったのは間違いない。
 議会に対する不信感も読み取れる。連合審査会で参考人の一人は「議員、首長と住民の意思の間にギャップが生じることがある」と指摘。再稼働の是非に、自らの意思が正確に反映されないのではないかと不安視する県民の意見を代弁したと言える。
 これまで原発に関する議論が活発ではなかった宮城県議会で、地元に立地する原発の在り方やエネルギー政策の方向性、民主主義の考え方などが論じられたことは直接請求の成果であり、評価されるべきだ。
 一方、署名の重みを踏まえた熟議がなされたのかどうかは疑問が残る。自民会は「慎重な検討」に腐心したが、当初から反対方針が見え隠れした。野党会派も与党側の動揺を誘う修正案までは示せなかった。
 「多様な意思を正しく反映できない」などとして住民投票を退けた以上、条例案に同様の意見を付した村井嘉浩知事とともに県議会は、再稼働を巡る意思決定の過程で住民意見をしっかりと吸い上げる責任を今まで以上に背負う。
 今後、再稼働に向けた手続きが本格化する。県や県議会が県民への説明責任を果たす場は、形式だけを整えたセレモニーであってはならない。(解説=報道部・吉江圭介)


2019年03月16日土曜日


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