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<災害住宅>宮城県内最後の完成「やっとという思い」 入居者仮設住宅暮らしに別れ

柳の目西地区の完成を待ち望んでいた佐々木さん。これまでは「ずっと見送る側だった」と振り返る

 「みんな出て行って取り残された感じがあった。『やっと』という思い」。石巻市南境の仮設住宅に暮らす主婦佐々木智恵さん(50)がしみじみと語る。
 東日本大震災の津波で同市鹿妻の借家が全壊して8年が過ぎた。宮城県内最後の完成となった東松島市柳の目西地区の災害公営住宅への転居が間近に迫る。
 2012年2月ごろに入った仮設住宅は茶の間や寝床にカビが発生、夜も眠れないほど呼吸が苦しくなった。行政に相談し、現在の仮設住宅に移った。
 症状は次第に落ち着き、住民とも打ち解けた。集会所の鍵の管理も任されるようになり、「いろんな人との出会いがあって絆を感じられたことが宝」と振り返る。
 猫が一緒のためペット可の災害公営住宅を探した。石巻市では人気地区を避けて申し込んでも全て外れた。東松島市に応募したらすぐ決まったが、完成までさらに2年余りを要した。
 「県内最後と知り、びっくりした。長かった。新しい場所に行けば新しい触れ合いがあると思う」と入居を心待ちにする。
 東松島市の仮設住宅に住む無職渋谷真由美さん(59)も柳の目西地区に移転する。「2月の説明会で顔合わせの場があったが、知っている人は誰もいなかった。不安も期待も半々な感じ」と言う。
 震災で東松島市のアパートが津波で被災。同市大塩の仮設住宅を経て17年11月ごろ、今の場所に移った。災害公営住宅は防災集団移転促進事業の対象者らが優先され、なかなか希望が通らなかった。震災時に一緒に逃げた愛犬もおり、入れる部屋も限られた。
 「仮設住宅も慣れてしまえば普通の家と同じだと思って過ごしてきた。ただ夏は暑く、冬は寒い。あっという間と言えばあっという間だった」と疲れた表情を浮かべた。
 3月下旬は引っ越し代が高騰するため、佐々木さん、渋谷さんとも4月に新居に移る予定だ。生活が一変したあの日から8度目の春。ようやく仮住まいが終わる。


2019年03月16日土曜日


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