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<仙台短編文学賞>10代の2人受賞 古里への思いペンに込め

千葉奏杜さん
渡辺ちなみさん

 第2回仙台短編文学賞(実行委員会主催)で学生を対象に設けた東北学院大学賞と同奨励賞に、県内に住む10代の2作品が選ばれた。いずれも初めて挑戦した小説で、原稿用紙約35枚を埋める執筆の原動力には古里への深い思いがあった。

◎東北学院大学賞 千葉奏杜さん「震災8年の区切りに」

 東北学院大学賞の「長次郎の夢」は主人公の水嫌いの小学生が、東日本大震災とみられる津波で亡くなった祖父と愛犬を回想しながら過去を受け止めて一歩踏み出すまでを描く。
 著者の千葉奏杜(かなと)さん(19)=筆名田中エリザバス、仙台市=は尚絅学院大1年で、震災時は東松島市大曲小5年。祖父母と母、兄と暮らしていた自宅が津波で壊れ、愛犬は行方不明になった。避難所と県外の親類宅に身を寄せた後、6年時に母と兄の3人で仙台市に引っ越した。
 「不謹慎かもしれないけど、今まで震災を振り返ることはあまりなかった」と千葉さん。
 以前ふと目にした記事で、小学校時代の同級生らが地元で語り部として体験を内外に発信していることを知った。自分を省みるきっかけとなり、記憶と想像を組み合わせた小説という手段で震災へのアプローチを試みた。「来年は20歳になる。自分なりにこの8年の区切りをつけられた」と語る。

◎東北学院大学賞奨励賞 渡辺ちなみさん「登米の良さ伝えたい」

 東北学院大学賞奨励賞に選ばれた渡辺ちなみさん(18)=同水無月恒(みなづきこう)、登米市=は今春、登米高を卒業したばかり。受賞作「落日と鬼灯(ほおずき)」は、幼い頃の祖父の死に自責の念を抱く女性が、久しぶりに祖母宅を訪れた夏の出来事をつづる。筋立てはフィクションだが、登米の町並みの風情や佐沼夏祭りなどが趣深く描写されている。
 渡辺さんは「登米は県内でマイナーな存在だけど、町全体が家族みたいな親しみがある。町の良さを小説で伝えたかった」と話す。
 学校の図書館脇に貼ってあった文学賞のポスターを見て「書くことに慣れよう」と応募を決めた。4月からは東北芸術工科大芸術学部文芸学科に進学し、山形市に転居する。「高校最後に古里への感謝を形にすることができた」と受賞を喜ぶ。
 2作品は東北学院大が3月下旬に発行する「震災学」第13号に掲載される。


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2019年03月16日土曜日


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