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<気仙沼漁船不明1年>痕跡ゼロ、募る焦り「手掛かり一つでも」家族ら不安の日々

連絡が取れずにいる第38開栄丸(県漁協気仙沼地区支所提供)
小松利則船長

 宮城県漁協気仙沼地区支所所属の漁船、第38開栄丸(19トン)と連絡が取れなくなり、4人の乗組員の行方が分からなくなった事故から17日で1年となる。船や乗組員の痕跡はいまだに何も見つからない。残された家族は今も落ち着かない日々を過ごしている。

 いずれも気仙沼市の小松利則船長(56)、藤村三夫さん(63)、関山正道さん(52)と釜石市の稲村光直さん(55)=年齢はいずれも当時=が乗った開栄丸は2018年3月17日午前10時半ごろ、はえ縄漁のため気仙沼港を出港。同日午後5時ごろを最後に連絡が取れなくなった。
 第2管区海上保安本部は翌日から28日まで11日間にわたり巡視船延べ38隻、航空機延べ23機で専従捜索した。仲間の漁船も一緒に捜したが、油膜や漁具などは一切確認されなかった。
 「船が通るたびに思い出してしまう」
 小松船長と2人暮らしだった母きり子さん(80)は、海が見える高台の自宅から航行中の船を見ると利則さんの姿が頭に浮かぶ。
 東日本大震災の津波で自宅が全壊し、17年7月にやっと再建した自宅で何度も利則さんの夢を見たという。
 転覆した船の近くを泳ぐ姿を見て、思わず「利則、早く上がれ」と叫んで目覚めた。「俺がいなくて大変だろう」と声を掛けてくる時もあった。
 事故後は次男と一緒に暮らしている。ただ、2階にある利則さんの部屋は片付けられない。洋服もベッドもそのままだ。
 きり子さんは2管本部に死亡認定願を申請したが、まだ認められていない。「一番頼りにしていた優しい息子。何か一つでも見つかってほしい」と願う。
 2管本部は専従捜索を打ち切った後も、通常のパトロールに切り替えて捜索を続けているが、漂流物などは発見に至っていない。
 関係者によると、乗組員全員の親族が死亡認定願を申請したとみられる。死亡認定は戸籍法に基づき、水難や火災などで死亡した場合、捜査した官庁などが現地の市町村長に報告する。
 手掛かりが全く見つからず、2管本部は死亡の認定には慎重だ。2管本部は「一般的に転覆、浸水すれば何かは残っている。当時、事故の目撃情報もなかった。(事故かどうかを含めて)あらゆる可能性を念頭に調べている」と説明する。
 県漁協気仙沼地区支所は所属する漁船に、開栄丸の痕跡があれば報告するよう協力を呼び掛けてきた。佐々木敏則支所長は「全く情報はない。何でもいいから手掛かりが見つかってほしいが、どうにもならない」と漏らした。


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2019年03月17日日曜日


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