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浪江と弘前大の8年 常駐の看護師、帰還した町民宅を訪問

 軽く驚いた。福島県浪江町に弘前大の出先があると聞いていたが、常駐しているのが看護師だと知ったからだ。しかも2人。昨夏、1人増員したのだという。
 東京電力福島第1原発事故後、大学の被ばく医療総合研究所が中心に町や避難場所に調査に入った。足かけ8年の活動になる。
 2年前に一部地域で町の避難指示が解除され、大学の足場も役場に移った。
 看護師によると、帰還した町民宅を訪問するのが日課だという。「多いときで月に50軒に上る」と話す。
 「戻った家の畑で野菜を作っても大丈夫か」「帰還困難区域の近くに家があるが健康への影響は」。放射性物質に対する住民の不安はなお根強い。
 課題解決の道を共に探ったり、収穫した野菜などの町役場での放射性物質濃度検査を勧めたりしている。
 活動内容を報告する会が先日、町役場であった。担当教員がアライグマやアカネズミなど野生動物への放射性物質の影響や、対話を通じて支援するリスクコミュニケーションなど四つのテーマについて説明。町民約80人が聞き入った。
 事故後、「原発は安全、安心だ」と呪文のようなお墨付きを与えていた研究者に批判が集まった。弘前大の取り組みは対照的に映る。息の長い地道な町への寄り添いを今後も願いたい。
(南相馬支局・佐藤英博)


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2019年03月17日日曜日


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