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<この人このまち>廃校 地域支え合う場に 丸森・筆甫地区移住の先駆者

おおた・しげき 1969年生まれ、東京都出身。95年に宮城県丸森町筆甫地区へ移り住み、みそ工房SOYAを開設。妻と子ども4人の6人家族。

 人口減少が著しい宮城県丸森町筆甫地区で4月、家庭的保育事業がスタートする。高齢者デイサービスを手掛けるNPO法人「そのつ森」が、子育て支援に挑む。代表理事の太田茂樹さん(49)は町外からの移住者の先駆け。東京電力福島第1原発事故の影響もある地域の再生の一役を担う。(角田支局・会田正宣)

◎NPO法人「そのつ森」代表理事 太田茂樹さん(49)

 −町の保育所再編で筆甫保育所が廃止されるのに伴い、受け皿として定員5人の家庭的保育を始める。どんな展開を考えているか。
 「筆甫の豊かな自然を生かし、のびのびした保育をしたい。お年寄りは子どもに元気をもらい、子どももお年寄りから学べる。『子どもからお年寄りまで』とのイメージで、施設でのピアノ演奏会を子どもと一緒に楽しんだり、昔遊びで交流したり意識的に機会を設けてきた」

 −2015年6月に始めた高齢者デイサービスの手応えはどうか。
 「東日本大震災で、南相馬市から約200人が旧筆甫中校舎に避難した。行方不明者を捜しに浜に行く人におにぎりを握ってあげるなど、大変な状況の中で助け合っていた。その姿を見て、廃校を支え合いの場として再生したいと思った」
 「地域で暮らし続けたい高齢者に選択肢を増やせたらと思う。創造的な作業ができるといいと思い、妻が中心となり思いのままに自由に織る『さをり織り』の織機を4台入れた。お年寄りがリハビリを兼ねて織りつないだ生地を、裁縫が上手な住民が手提げバッグなどの製品に仕立てるといった交流が生まれている。人はみな凹凸な存在。それが重なり、つながり合っていければ何よりうれしい」

 −筆甫は高齢化率が5割を超える。地域の現状をどう感じるか。
 「空き家も増え、ぽつんとお年寄りが1人暮らしするケースも増えた。これまで移住者を受け入れてきたが、原発事故後しばらく途絶えていた。それも少しずつ戻りつつある。人口が減った分、助け合おうという意識は強まっている。地域の支え合いの循環、活性化の一助になればいい」

 −東京から移り住んで24年。改めて筆甫の魅力を。
 「筆甫の奥まった『桃源郷』のイメージと人に引かれて移住した。今も思いは変わらない。子どもたちは小学校に上がる前から農作業を手伝い、心身ともに丈夫に育った。18歳の長男が今季、みその仕込みを初めて手伝った。時間の経過と子どもの成長を実感する」


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2019年03月18日月曜日


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