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<更生現場のいま>心身の弱さ克服 第一歩に

マインドフルネスに取り組む少年ら。自分との向き合い方を学ぶ=2月15日、仙台市若林区の東北少年院

 犯罪や非行に走った少年の更生が新たな局面を迎えようとしている。3年後に控える18歳への成人年齢引き下げによって、心身や環境の準備が整わないまま18、19歳が「大人」として社会に放り出される可能性をはらむからだ。更生の現場は重みを増す責任にどう向き合うのか。実情と課題を探った。(報道部・荘司結有)

◎「18歳成人」を前に(1)ケア

<半数以上が治療>
 「歯が痛い」「奥歯がしみる」
 東北少年院(仙台市若林区)の歯科治療室で12日、少年2人が診察を受けた。1人は詰め物が欠け、もう1人は初期の虫歯だった。1〜2週間に1回の歯科医の訪問日に受診者がゼロのケースはほぼない。
 「他にもアトピー性皮膚炎やぜんそくなど、何らかの疾患を持つ子が多い」。同院医務課長の梅津道久さん(34)が説明する。
 歯科疾患は特に目立つ。2017年度は36人、18年度も今年1月末までに33人と、在院者全体の半数以上が虫歯治療などを受けた。
 在院者は中卒や高校中退者が多く、学校の定期健診などを受けていないため患部の発見は遅れがちだ。「歯の磨き方を教わっていなかったり、不衛生で不規則な生活を続けたりしたことも一因となっている」という。
 歯痛やかゆみといった体の不調を抱えたままでは、在院中のさまざまな更生プログラムに集中して取り組むことはできない。「自分の体を大切にしない、されない生活から抜け出すことが立ち直りの第一歩」。そう梅津さんは考える。

<感情に向き合う>
 体だけでなく心の弱さの克服も少年らに課される。同院が18年度から授業に採り入れた「マインドフルネス」は瞑想(めいそう)を通じて自分自身と向き合い、自らを客観的に捉える方法を身に付けてもらう狙いがある。
 ゆっくりと呼吸しながら身体のどの部分が動いているのか、自分が何を考えているのかを「観察」することで感情や思考を制御、整理する。
 指導教官の飯田拓磨さん(27)は「仲間とつるんだ昔と違い、単独で非行に走る少年が多い。他者との意思疎通が苦手なためストレスや不満を内にため込み、感情に向き合えないまま衝動的に暴力行為などに至ってしまう」と話す。
 授業に参加する在院中の男性(20)は交際女性を殴り、けがをさせた。ささいなトラブルが原因だった。
 「思い返せば暴力ではなく、話し合いで解決する手段もあった」。男性は感情的になって手を出したことを今は悔いる。飯田さんは「落ち着いて違う選択ができるようになってほしい」と願う。
 職業訓練や学習支援が主体だった少年院は今、未成熟な心と体のケアにも重きを置く。「18歳成人」が現実となれば、より重要性は増す。

[マインドフルネス]仏教が由来の米国発祥の瞑想(めいそう)法。今という瞬間の感情や身体知覚に意識を向けて観察する。ストレスマネジメントや心身の健康増進に有効なトレーニング法とされる。全国の女子少年院では2016年度から試行されている。


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2019年03月18日月曜日


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