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<アスベスト>災害時の対策 専門家団体と関東など自治体の協定広がる

 多くの建材に含まれる発がん性物質アスベスト(石綿)の専門家でつくる建築物石綿含有建材調査者協会(ASA、東京)が、自治体との災害時協定締結を推進している。地震や水害の被災地では、壊れた建築物や廃棄物からの石綿飛散が懸念される。防止には専門知識が欠かせず、関東を中心にASAと連携する自治体が増えている。
 ASAは災害時協定を結んだ自治体に専門家を派遣。被災建築物に含まれる石綿の飛散防止や除去を支援する。2018年1月の愛知県豊田市を皮切りに福岡市、東京都世田谷区、長野県、横浜市と結んだ。
 環境省関東地方環境事務所とも合意書を交わし、新潟を含む1都9県と市町村を支援対象にした。東北の自治体からも問い合わせがあるという。
 横浜市は今年1月に結んだ協定に平常時の連携も盛り込んだ。市によると、市内の建築物約90万棟のうち約14万棟に石綿が使われている。市環境管理課の担当者は「ASAの助言を得て被害の未然防止に努めたい。訓練も検討中だ」と話す。
 石綿含有建材調査者は建物の石綿の使用実態を把握するため、13年に創設された公的資格。これまでに約1000人が取得した。ASAは16年に発足。熊本地震や西日本豪雨では、被災自治体の石綿調査をサポートした。
 災害時の石綿飛散は1995年の阪神大震災で危険性が指摘され、東日本大震災で再び問題視された。
 環境省が2017年に改訂した自治体向け災害時飛散防止マニュアルは、石綿が露出した建築物を見分ける調査は「専門家の協力を得ることが望ましい」とし、ASAなどと協力体制を築くよう求める。
 東日本大震災後、石巻市などの石綿調査に協力した外山尚紀ASA災害対応委員長は「小さな自治体は石綿関連の担当部署がない。協定があれば事前の備えが充実し、災害時も速やかに支援に動ける」と意義を語る。(東京支社・片山佐和子)

[アスベスト]高度経済成長期に利用が増え、建材を中心に約1000万トンが使われた。中皮腫など石綿関連疾患の潜伏期間は吸引後20〜50年で「静かな時限爆弾」と呼ばれる。使用は段階的に規制され、2012年に完全禁止。国によると、石綿を使った建物は全国に約280万棟。老朽化に伴う解体は28年前後にピークとなる見通し。


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2019年03月18日月曜日


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