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「ハマナス」は東北なまりではない 北大研究者が新説「ハマナスビ」が由来と提唱

東北の海沿いに自生するハマナス。東日本大震災の津波被害を受けた地域でも花を咲かせた=2011年6月、気仙沼市本吉町

 ハマナスはハマナシのなまりではない−。東北や北海道の海岸に群生するハマナスの語源を巡り、北陸でかつて使われた方言「ハマナスビ」が由来とする新説を北海道大の姉帯(あねたい)正樹客員教授(天然物有機化学)が提唱している。東北なまり説を一貫して否定する仙台市野草園名誉園長の管野邦夫さん(89)=太白区=は「考えを裏付ける説でありがたい」と歓迎する。
 姉帯氏は、石川県中部や新潟県の粟島で使われたハマナスを指す古い方言「ハマナスビ」に着目。赤い実を丸ナスになぞらえてハマナスビの言葉ができ、東北や北海道へ広がったと考えた。その後「ビ」が取れ、ハマナスからハマナシへと語尾が変化。丸ナスが身近でない地域ではナスの意味が薄れ、実の形から果物のナシと捉えるようになったと推察した。
 現在の通説は「浜梨」に語源を求めるハマナシ説。日本植物分類学の父とされる牧野富太郎(1862〜1957年)や、植物学者の武田久吉(1883〜1972年)が主張した。
 牧野は1940年刊行の著書「牧野日本植物図鑑」で「ハマナスは浜梨の意味。東北の人は『し』を『す』と発音するため生じた」などと説明。国語辞典や植物図鑑がこの説を引用し、一般的となったという。
 現在、東北ではハマナス、ハマナシと呼び方が混在している。
 管野さんはトマトを赤ナスと呼ぶ地域が東北にもあることなどから「なまり説」を否定。ハマナスを元にハマナシへ変わったと考えた。「権威ある学者の話が広がり、なまりと決め付けられた。東北人として黙っていられない説だった」と振り返る。
 姉帯氏は2年ほど前から北陸の方言や江戸時代の語源辞典を調べ、昨年8月に論文として発表した。「ハマナスは新皇后となる皇太子妃雅子さまの御印としても知られる。代替わりを機にハマナスの語源を改めて知ってほしい」と話した。


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2019年03月19日火曜日


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