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<地価公示>復興需要の衰退が鮮明に、宮城沿岸経済の後退など負の循環が現実味

前年から下落率が拡大した石巻市須江しらさぎ台1丁目。震災後に全国最高の上昇率を示した

 公示地価が19日発表され、東日本大震災の津波で被災した三陸沿岸の復興需要の衰退があぶり出された。宮城県内で市街地の被害が甚大だった石巻市と女川町は全用途の平均変動率が震災後初めてマイナスに転じ、気仙沼市と南三陸町は下げ幅が拡大。地域経済の後退と高齢化、人口減という負の循環が現実味を帯びてきた。
 石巻市の住宅地の平均変動率はマイナス0.6%。下げ幅は震災後初めてマイナスとなった前年より0.5ポイント広がり、全体を押し下げた。
 不動産業ホームランド大地(石巻市)の佐藤創蔵社長は「被災者の住宅取得はほぼ済んだ。商業エリアの蛇田地区を中心に一定の人気はあるが、全体ではこれ以上の価格上昇は見込みづらい」と分析する。
 震災後、内陸部への移転需要が高まり、同市須江しらさぎ台1丁目は2012年に60.7%上昇、14年まで上昇率が全国1位だった。18年にマイナスに転じ、今回はマイナス1.2%とさらに落ちた。
 佐藤社長は「石巻市に仕事の場が少なく、若者の需要が伸びない。跡継ぎが石巻を離れ、災害公営住宅に入る高齢者もいる」と話す。
 女川町の住宅地は0.9%のマイナスに転じた。3月1日現在、町が分譲する住宅地エリアは56区画が残る。麻生不動産(女川町)は「昨年5月ごろに動きが活発化したが、夏以降鈍くなった」と指摘した。
 全用途平均変動率がマイナス0.6%だった気仙沼市は2年連続の下落で、下げ幅は0.4ポイント拡大した。
 「これまでの値上がりが異常だった。通常の経済状態に戻ったということ」。サンケイ不動産(気仙沼市)の藤野愛一郎社長は冷静に見る。
 藤野社長は「平らな土地が少ない気仙沼で、震災直後に土地を確保しようとすれば当然費用はかかる。ようやく生活が落ち着いてきた」と指摘。「気仙沼を離れた人たちが安くても土地を手放そうという動きが増えれば、さらに下がる可能性はある」と話した。
 南三陸町は全用途平均変動率がマイナス2.0%となり、沿岸部で最も下落率が大きかった。震災関連工事の減少で町内に事務所を置く業者が少なくなったことが要因とみられる。
 町内の不動産業関係者は「今後の価格上昇は見込めない。下落が続けば土地を売りたくても持ち続ける人が増えるだろう」と推測。南三陸商工会の山内正文会長は「不動産需要を喚起するには町に活気を生み出す取り組みが必要だ」と訴えた。


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2019年03月20日水曜日


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