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<更生現場のいま>職場体験でギャップ克服

男性の作業を見守る山田さん(右)。更生と自立に協力雇用主は不可欠の存在だ=5日、名取市

 犯罪や非行に走った少年の更生が新たな局面を迎えようとしている。3年後に控える18歳への成人年齢引き下げによって、心身や環境の準備が整わないまま18、19歳が「大人」として社会に放り出される可能性をはらむからだ。更生の現場は重みを増す責任にどう向き合うのか。実情と課題を探った。(報道部・荘司結有)

◎「18歳成人」を前に(3)就労

 東北少年院(仙台市若林区)の教官に連れられた作業着姿の男性(20)が5日、名取市の建設業「山田建設」の事務所を訪れた。同社会長の山田光夫さん(62)は男性と共にスコップを持ち、約2トンの砂利を駐車場に敷き詰めた。
 出院後に就職を希望する男性向けの職場体験だった。宮城県外出身の男性は地元の非行仲間と決別するため同県内での就労を望む。「話だけでは不安だった。雰囲気をつかめて良かった」。男性が笑顔を見せた。

<次々姿消す少年>
 山田さんは30年以上、非行少年らの雇用を続ける協力雇用主だ。保護観察中の刑務所出所者や少年院出院者を毎年5、6人引き受ける。「見守れば少年らはやり直せる」との思いからだが「5人中4人は1年以内に辞めてしまう」と肩を落とす。
 石巻市の建設業「斎藤興業」も過去に出院者2人を雇ったが、長続きしなかった。1人は再犯で逮捕されて再び少年院に入り、出院後も雇ったが職場に来なくなった。もう1人は保護観察中は真面目に働き、観察終了とともに姿を消した。
 社長の斎藤慎一郎さん(38)は1年間勤め上げた職人にオイルライターを贈っているが、2人には渡せないまま。辞めた理由は今も分からない。「まっとうな大人に育てたかった。違う場所で一生懸命働いているのならいいが」と案じる。
 出院後の就労について、法務省仙台保護観察所の十河(そごう)民世統括保護観察官は「早ければ2、3カ月で辞める。恵まれた環境に気付かず『給料が今より高い』など目先の利益で動いてしまう子も多い」と説明する。

<技術習得も狙い>
 早期離職につながる仕事のミスマッチ、事前イメージとのギャップを克服するために試行されたのが職場体験だ。同省が本年度、全国の少年矯正施設に実施を促し、東北少年院も山田さんの会社で初めて試みた。
 自治体も定着支援に乗り出す。宮城県は新年度、保護観察所の推薦を受けた少年を県の臨時職員として最長半年間雇い、データ入力などの事務作業をしてもらう計画だ。
 現在は協力雇用主の約6割を建設業が占めるが、近年はサービス業や事務職を望む少年が多い。「臨時雇用は再犯防止に加え、恒久的な就職に向けた経験やスキルを身に付けてもらうのも狙いだ」(宮城県社会福祉課)という。
 少年らを更生と自立に導き、社会人として送り出す取り組みは着実に広がっている。十河さんは「自信を付けて、将来の選択肢を増やしてほしい」と願う。

[協力雇用主]犯罪や非行の前歴のために定職に就くことが難しい刑務所出所者や非行少年を雇い、更生に協力する民間の事業主。仙台保護観察所が管轄する約800の協力雇用主のうち実際に非行少年らを雇っているのは約3%で、雇用の拡大が課題となっている。


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2019年03月20日水曜日


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