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<E番ノート>スピード/思い出したノムさんの言葉

 「投手にとってスピードは麻薬のようなもの」。東北楽天時代の野村監督が言っていた。麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたピエール瀧容疑者の出身地静岡市で16日からの中日2連戦を取材して、思い出した。
 「力で圧倒したい」。愛媛・済美高2年で157キロをたたき出した安楽は東北楽天入団後も言い続けた。「そこまで必要ない」という周囲の意見をよそに格闘家のような肉体を追求した末、昨季右肩を痛めた。
 1軍復帰戦となった16日、最速は144キロ。「球速より打者を詰まらせる方が大事」と速球志向を捨てていた。昨季まで東北楽天投手コーチだった与田監督は中日ベンチで教え子の成長を感じた。「けがで遠回りしたが、よく気づいた」
 与田監督も、かつて同じ思いをしていた。中日で新人王に輝いた1990年、抜群の体格を誇り当時日本最速の157キロを出した。だがその後、剛腕は悲鳴を上げ、手術も経験した。
 剛速球が戻らないまま2000年に身を寄せた阪神で野村監督に諭された。「球速でファンに夢を与えるより勝つ方が大事なんだ」。結局、拾ってもらった恩義を胸に復活を期した直後に右膝を痛め、同年限りで引退せざるを得なかった。
 17日の試合前、与田監督は安楽と談笑していた。「投手はスピードじゃないって分かっただろう」。2人の間には特別な空気が流れていた。
(金野正之)


2019年03月21日木曜日


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