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<更生現場のいま>人生再構築、地域ぐるみで

はんざわ・としかず 福島県生まれ。福島大大学院教育学研究科修了。1989〜2013年に盛岡、東京、福島などの家裁で調査官として少年事件などを担当し、15年から現職。専門は犯罪非行心理学。臨床心理士の資格も持つ。56歳。

 民法改正による「18歳成人」が2022年4月に近づき、少年法改正の議論も熱を帯びる。家裁調査官として20年以上、非行少年らと向き合った東北福祉大総合福祉学部の半沢利一准教授に少年非行の現状や更生現場の課題を聞いた。
(聞き手は報道部・荘司結有)

◎インタビュー(4完) 東北福祉大総合福祉学部・半沢利一准教授

 −長く家裁調査官を務めた。

 「殺人未遂や重過失致死など社会的反響が大きい重大事件も担当した。犯罪形態が少年の非行性を表す場合もあるが、不遇な環境で懸命に生きてきた少年が悪い大人と出会い、重罪を犯すこともある。事案の重大性と本人の非行性や経緯のはざまで裁判所も揺れるし、悩むこともあった」

 −最近の非行少年の特徴は。

<非行「単独型」に>

 「社会性の乏しさが目立つ。昔は暴走族や地域の非行グループなど組織内のつながりで少年なりの非行文化の継承があった。今はそうした集団が少なくなり、非行形態も単独型が多い」
 「10年ほど前はコンビニなどが少年たちのたまり場だった。インターネットの普及でたまり場がネットに移り、直接的なコミュニケーションの技量が落ちている」

 −非行形態の変化は。

 「『いきなり型』が目立つ。非行にも発達段階があり、学業不振や服装違反、喫煙、親への反抗といったプロセスを経て非行や犯罪に至るのが一般的だが、『いきなり型』の少年らは段階を踏まず、急に残忍な手口で罪を犯すこともある」

 −少年法の適用も20歳未満から18歳未満に引き下げられる可能性がある。

 「少年院は健全な社会生活を凝縮して教え込み、社会から逸脱してしまった子らの人生のストーリーを再構築する場所だ。引き下げで、そうした機会が奪われかねない少年も出てくる」
 「少年は置かれた環境や大人たちとの関わりで変化する。未成年者だと思うと周囲も何とかしてあげようと手を尽くす。大人のラインを引き下げることで、大人になりきれない18、19歳への社会のまなざしが変わってしまうのではないか」

 −更生現場の課題は。

<保護司ら高齢化>

 「更生を支える保護司は高齢化が進む。保護司や保護観察官の人員を増やせば一人一人により手厚く対応できる。北海道沼田町の就業支援センターでは、少年院を仮出院した子たちの更生を農業実習などを通じて町ぐるみで支える。少年らの更生を見守る体制の整備に向け、今後は行政や地域が率先して取り組むことが必要だ」


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2019年03月22日金曜日


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