岩手のニュース

<三鉄リアス線23日開業・つながる鉄路>(4)地域とともに/観光戦略 官民で練る

震災を伝える甚句に聞き入るモニターツアー参加者

 北から南まで163キロ。岩手の海岸線が1本のレールで結ばれる。JR東日本から移管される山田線の宮古−釜石間(55.4キロ)が南、北リアス線をつなぎ、第三セクター三陸鉄道(宮古市)のリアス線が23日開業する。東日本大震災から8年。三陸の浜に復興の笛が響く。

 三陸鉄道リアス線で北の起点となる久慈駅。工藤クニエさん(79)は30年以上、駅舎内の飲食店「三陸リアス亭」で名物のウニ弁当を手作りしている。
 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」では三鉄と久慈市が物語の舞台となり、工藤さんはヒロインの祖母役のモデルとされる。放送開始から4月で丸6年。市内の主要施設を訪れた本年度の観光客は延べ約105万人で「放送前の水準に戻った」(市観光交流課)。
 23日のリアス線開業に工藤さんは「電車に長時間乗るお客さんが増えれば、お弁当の売り上げも増えるかな」と期待を寄せる。

<163キロ 距離生かす>
 盛(大船渡市)から久慈までを結ぶリアス線は、第三セクター運営鉄道では国内最長。163キロの総営業距離を生かして官民一体の観光戦略が動きだしている。
 岩手県は今年、東日本大震災の教訓を発信する「三陸防災復興プロジェクト」を仕掛ける。沿岸13市町村を会場に6〜8月の計68日間、さまざまな催しを繰り広げる博覧会だ。
 国内外から13万人の来場を見込み、三鉄はイベント会場周遊の足になる。盛−久慈間を夜通し走る特別列車などを用意する。
 観光商品の開発も進む。三鉄や沿線の宿泊業者は昨年、富裕層をターゲットに「プラチナ観光ルート創設協議会」を設立。今年2月には三鉄の南、北リアス線を利用して沿岸を縦断する2泊3日のモニターツアーを初めて企画した。
 ツアーに参加した女性6人はバスも使って久慈市から陸前高田市まで移動。北リアス線のこたつ列車内でネイルアートを施してもらい、短角牛、ホタテ、カキなど地場食材を味わった。釜石市鵜住居の旅館では、地元の女性が歌い継ぐ東日本大震災の甚句に涙した。

<沿線の魅力多彩>
 モニターを務めた「つなぎ温泉四季亭」(盛岡市)の専務林晶子(あきこ)さん(66)は「新幹線で500キロを2時間で移動できる時代に、地域色豊かな沿岸部をゆっくり回れるのは素晴らしい。特徴ある駅舎を回る旅も面白そう」と三陸路の魅力を語る。
 三鉄の二橋守旅客営業課長は「移動がしやすくなり、目的地選びの自由度も格段に高まる」とリアス線開業の意義を強調。沿線に観光資源が連なる三鉄の強みを生かそうと、官民を挙げた取り組みが続く。(盛岡総局・斎藤雄一、大船渡支局・坂井直人)=22面に関連記事


2019年03月22日金曜日


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