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<地上イージス・進む配備の動き>[2]日米一体化(上)秋田・ミサイル防衛矢面に

イージス・アショアの配備候補地となる陸自新屋演習場(上)。すぐ近くには住宅地が広がる=2月中旬、秋田市

 「わが国の防衛のためで、日本に飛来する弾道ミサイルにしか使わない」
 防衛省の五味賢至戦略企画課長は昨年8月、秋田市での住民説明会で明言した。同市の陸上自衛隊新屋演習場を配備候補地とする地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。住民からの「米国を守るための施設ではないのか」との指摘を否定した。

<対中国シフト>

 日本の弾道ミサイル防衛(BMD)は米国との連携が密だ。1995年に日米による共同研究が始まり、技術研究に進んだ。2003年に国内へのシステム導入が正式に決まった。
 現在の体制では、米軍の早期警戒衛星がミサイル発射の兆候をつかむ。情報共有する自衛隊は航空自衛隊加茂分屯基地(男鹿市)などのレーダーで追尾し、イージス艦と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の二段構えで迎撃する。
 地上イージス導入に際し、防衛省は弾道ミサイルで日本を奇襲できる北朝鮮の脅威を強調する。しかし、昨年12月に閣議決定された新しい「防衛計画の大綱」は、弾道ミサイルに加えて巡航ミサイルへの対処の必要性も明記した。
 政策研究大学院大の道下徳成教授(安全保障問題)は「北朝鮮の脅威は基本的に弾道ミサイルだけだが、中国は巡航ミサイルなどを持つ」と指摘。新大綱から中国シフトを読み解き、「中国に対応するため、BMDを米軍と一体で運用するのが理想だ」との見方を示す。

<「米が主導権」>

 米軍は横須賀基地(神奈川県)にBMD対応のイージス艦7隻を配備するほか、つがる市の航空自衛隊車力分屯基地などにミサイル防衛用早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を備える。
 NPO法人ピースデポ(横浜市)特別顧問の梅林宏道氏は「日本のBMDシステムは米軍が主導権と装備の根幹を握る」と解説。「日米一体化」の進展を危惧する。
 米国は今年2月、ロシアに中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通知した。ロシアも応じる構えで、2021年に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)の延長交渉に影響しかねない。
 最新レーダーを備える地上イージスが日本の候補地である新屋演習場と陸自むつみ演習場(山口県萩市、阿武町)に配備された場合、両演習場はどう位置付けられるか。
 梅林氏は「中国、ロシア、北朝鮮の脅威から守る重要な米国防衛の一翼を担う」と言い切る。日米が密接になるBMD体制で「米国が抱える他国との緊張関係が日本にそのまま移ってくる」と指摘する。

[東北の弾道ミサイル防衛(BMD)拠点] 航空自衛隊の大湊分屯基地(青森県むつ市)と加茂分屯基地(秋田県男鹿市)に目標を追尾する警戒管制レーダーが設置されている。車力分屯基地(青森県つがる市)にはPAC3と、米軍のミサイル防衛用早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」が配備。米軍三沢基地には衛星からの早期警戒情報を受信する「統合戦術地上ステーション」(JTAGS)がある。


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2019年03月21日木曜日


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