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<東日本大震災>災害型リバースモーゲージローン 自治体、返済支援の動き

 大規模災害で損壊した自宅の再建方法として注目される災害型リバースモーゲージローンについて、返済支援策を導入する自治体が全国で広がり始めた。資金調達が難しい高齢の被災者が、低負担で現地再建できる利点がある。東日本大震災の被災地では、自宅の修繕が進まない在宅被災者の間で支援策の波及を期待する声が出ている。(石巻総局・氏家清志)

<月負担額を半減>
 昨年7月の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市は新年度、住宅金融支援機構(東京)と連携し、毎月の返済額を半減させる新たな制度を創設する。
 借入額と申込時の金利、利用者の平均余命を掛けて算定した「一生分の利子」の半分を、市が機構に一括で支払う仕組み。
 機構によると、上限の1000万円を借りた場合、金利1.94%(3月)が0.97%となる計算になり、一生涯の返済額は毎月1万6166円から8083円に半減する。市は2年間で約200人の利用者を見込み、新年度一般会計当初予算に約2億円を計上した。

<「元の地」望む声>
 制度新設の背景には、被災した元の土地での自宅再建を望む高齢の被災者の声があった。
 市は昨年12月〜今年1月、大規模浸水した同市真備町地区の全被災者約5700世帯を対象に住宅再建に関する18項目のアンケートを実施した。「どこに再建したいか」と尋ねたところ、回収した3336世帯の83%が「元の地域に戻りたい」と回答した。
 市住宅課は「年齢制限などで通常の借り入れが難しい高齢者にとって融資の選択肢の一つになる。元のコミュニティーも維持できる」と効果を期待する。
 同ローンの返済支援の先駆けは熊本市。熊本地震で自宅が損壊した被災者を対象に17年4月、利子を上限20万円で3年間助成する制度を開始した。同年秋には、県とともに利子の一部を一括で支給する新たな助成制度に踏み込んだ。
 機構によると同ローンの申請受付数は1月末現在、130件。主な内訳は熊本地震の被災者が112件と大半を占め、東日本大震災の被災者は8件にとどまっている。

<伴走型の体制を>
 石巻市を拠点に在宅被災者の支援に取り組む一般社団法人「チーム王冠」の伊藤健哉代表理事は「住宅の補修を希望する在宅被災者は今も多く、災害型リバースモーゲージローンは資金調達の有効な選択肢になる」と期待する。
 一方、高齢者が複雑な仕組みを理解し、判断するハードルは高く「一人一人の状況に沿って一緒に再建を考える伴走型の支援体制があってこそ、制度が生かされる」と指摘する。

[災害型リバースモーゲージローン]自宅と土地を担保に「60歳以上」など一定年齢以上の被災者に融資する商品。返済期間は申込者(連帯債務者を含む)が亡くなるまで。毎月の支払いは利息分のみ。死亡後、相続人が物件の売却代金で一括返済する。不足金が発生しても相続人には請求されない。住宅金融支援機構は2016年の熊本地震を受け、17年1月に商品化した。


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2019年03月23日土曜日


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