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仙台市の肺がん・結核健診 車いす利用者受けられず

仙台市の肺がん・結核健診の通知書を自宅で手にする男性。約10年間に4回申し込んだが、受診できなかった

 車いすを利用する仙台市の障害者男性(67)が約10年前から4回、市の肺がん・結核健診を申し込みながら受診できなかったことが分かった。胸部エックス線検査の際、一人で立てない障害者は現行の市の制度では受けられない。男性は「国や市はがんの早期発見、早期治療を呼び掛けているのに、なぜできないのか」と憤る。

 男性はポリオの後遺症で両脚に障害があり、車いすを使っている。
 男性によると、約10年前から昨年10月まで計4回、健診を申し込んだ。1回目は会場まで行ったが、検診車に乗れずに帰宅。2回目以降は「エックス線検査が駄目なら(たんを調べる)喀痰(かくたん)検査を単独で受けたい」と申し入れたが、かなわなかった。
 仙台市は肺がん・結核健診の受診通知表に「一人で立てない人は受診できない」「喀痰検査は単独で受けられない」と明記する。
 市健康政策課によると、胸部エックス線検査の介添えは被ばくの恐れがあって難しい。単独の喀痰検査は集団検査での医学的根拠が確立されておらず、認められていないという。
 小林浩子課長は「市は車いすの人を対象に、登録医療機関で個別受診する(胸部エックス線検査を含む)身体障害者健診を実施している」と説明する。
 ただ、身障者健診は肺がんの早期発見を目的にしておらず、喀痰検査はない。男性は昨年11月、宮城県結核予防会(仙台市)でエックス線検査と喀痰検査を受けたが、費用約6000円は自己負担だった。
 市の肺がん・結核健診はエックス線検査が無料、喀痰検査は700円で受けられる。男性は約15年前まで喫煙し、肉親が肺がんで闘病しているとして市の健診を強く望んでいる。
 小林課長は「自力で立てない障害者が肺がん・結核健診を受けられないのは事実。どこまで個別事情に合わせた運用ができるか検討したい」と話す。
 男性は「障害者は障害のためでなく、社会的な障壁によって絶望する。健常者と同じように受けられるようにしてほしい」と願う。

[仙台市の肺がん・結核健診]胸部エックス線検査、喫煙年数と本数で算出する該当者に喀痰検査を実施する。委託先の宮城県結核予防会が各市民センターなどを検診車で回る。2017年度の受診者は約7万2700人。検査方式は厚生労働省の通知を基に決めている。

◎男性「仙台市、思いやり欠如」
 仙台市の肺がん・結核健診を受けられなかった車いすの男性は「市は努力した上で受診できないと言っているのではなく、初めから門前払いしているように感じる」と思いを語った。(聞き手は報道部・庄子晃市)

 −訴えたいことは。
 「障害者が受診できるように改善してほしい。胸部エックス線検査が無理なら喀痰検査だけでも受けられないのだろうか。これ以上の障害や病気は負いたくない」
 「かつて係の人から『10秒だけでも立てませんか』と言われた。『10秒でいいから空を飛べますか』と返した。想像力や思いやりの欠如以外の何物でもない」

 −区役所にも相談した。
 「電話や訪問で要望したし、東北管区行政評価局の1日行政相談も利用した。最終的に市から宮城県結核予防会を紹介され、昨年11月、施設で専用車いすに乗って胸部エックス線検査を受けたが、これは市の肺がん・結核健診とは違う」

 −仙台市に言いたいことは何か。
 「工夫の余地はあるはず。私一人でなく、少数者全体に関わる問題だ」


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2019年03月23日土曜日


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