岩手のニュース

<三鉄リアス線23日開業・つながる鉄路>(5完)中村社長に聞く/沿岸の相互交流促す

なかむら・いちろう 東大卒。1979年岩手県庁入り。政策地域部長、復興局長などを歴任して2016年3月退職。16年6月から現職。盛岡市出身。

 岩手県沿岸を一本のレールで結ぶリアス線が、23日開業する。利便性向上に沿線住民の期待は大きいが、東日本大震災で疲弊した地域で新路線を維持するには相当の困難も予想される。第三セクター三陸鉄道(宮古市)の中村一郎社長(63)に経営の課題と戦略を聞いた。(聞き手は宮古支局・佐々木貴)

 −開業に向けて意気込みは。

<地域振興に貢献>
 「訓練運転は順調。全国の鉄道ファンから早く乗ってみたいという声が届いており、震災復興と地域振興に貢献したい」

 −利用者増の戦略は。
 「新年度は、県沿岸部を会場とした博覧会『三陸防災復興プロジェクト』や釜石が試合会場の一つとなるラグビーワールドカップ日本大会を控えている。これをてこに実績を伸ばす」
 「JR東日本から移管される旧山田線区間には二つの新駅が整備された。新駅周辺は人口集積が加速しており、震災前より利用が増えるだろう。宮蘭フェリーを利用する北海道からの修学旅行生を主な対象に、震災学習列車も走らせたい」

 −慢性的な赤字経営を危惧する声もある。
 「危機感は大いに持っている。2018年度決算は、リアス線開業準備による支出増が影響して8065万円の赤字見通しとなった。劇的な黒字化は難しいが、少しずつでも赤字を減らしていく」

 −リアス線と並行する三陸沿岸道の整備が進む。

<営業活動に力を>
 「確かに競合する面はあるだろう。自動車専用道の方が速く、三鉄沿線は料金もかからない。ただ三鉄利用客の中心は高校生と高齢者であり、車を利用しない。速さを競うのではなく、三陸道と共に地域振興に貢献していきたい」
 「仙台、八戸などの都市圏から岩手の三陸に来やすくなる点はむしろ好都合。営業活動に力を入れ、企画列車や貸し切り列車をPRして利用増につなげたい」

 −県沿岸が一本のレールで結ばれる意義は。
 「沿岸自治体の相互交流は、必ずしも日常的に行われていなかった。リアス線によって各地を行き来する縦のつながりが促進されるのではないか。経営は苦しいが、地域経済に貢献している自負がある。県内陸部の観光地から人を呼び込むため、横のつながりも強化していく」

 


関連ページ: 岩手 社会

2019年03月23日土曜日


先頭に戻る