岩手のニュース

<リアス線開業>沿線住民「8年間ずっと待ってたよ」

ひょうたん形の屋根が特徴の大槌駅周辺には大勢の町民が大合唱で一番列車を出迎えた=午後0時10分ごろ、岩手県大槌町
停車した列車に手を振る家族連れ=午後0時40分ごろ、岩手県山田町の陸中山田駅

 東日本大震災でずたずたになった鉄路がよみがえった。JR東日本の旧山田線釜石−宮古間(55.4キロ)を受け継いで23日、三陸鉄道リアス線が開業した。「8年間、ずっとこの日を待ってたよ」。沿線では、数え切れないほどの人たちが手を振って待望の一番列車を出迎えた。

<釜石/地域を元気づけて>
 始発の釜石駅では釜石高吹奏楽部が、三鉄を一躍有名にしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のテーマ曲を奏でて、新生三鉄の門出を祝った。
 「復興の懸け橋として、ドラマのように地域を元気づけてほしい」。部長の2年大和田琴夏(ことな)さん(17)は、そう語って発車する一番列車を見送った。
 両石湾を越えて釜石市の鵜住居駅に着くと、9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で試合会場の一つとなる「釜石鵜住居復興スタジアム」が姿を現した。
 ホームで郷土芸能の虎舞を披露した会社員三縄(みなわ)聡さん(29)は「駅の向こうに一番列車が見えた瞬間、気持ちが高ぶった。W杯も三鉄で多くの人に来てほしい」。

<大槌/僕らはくじけない>
 震災で町民の1割が犠牲になった大槌町には、人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる大槌湾の島にちなんだ駅舎が新築された。
 駅近くの線路沿いに並んだ町民が大合唱で列車を出迎える。人形劇の主題歌と復活した鉄路に町の復興を重ね合わせていた。
 ∧だけど僕らはくじけない 泣くのはいやだ笑っちゃおう 進め!∨
 浪板海岸と並走しながら山田町に入った。車窓から「鯨と海の科学館」が見える。外壁の上部に引かれたラインは、震災で押し寄せた津波の高さ8メートルを示す。
 山田町の陸中山田駅で列車を出迎えたパート白土明美さん(55)は「8年は長かった。けど、みんなが笑顔になれた」としみじみ語る。「町の復興をけん引するリアス線を支えたい」と意気込んだ。

<宮古/街へ買い物楽しみ>
 宮古市の津軽石駅では、地元の約200人が小旗を振って開業を祝った。江戸時代から伝わる獅子舞を披露した津軽石小6年の盛合華代さん(12)は「市街地まで買い物に行くのが楽しみ」と期待を寄せた。
 約1時間40分の初仕事を終え、列車は宮古駅に到着。「車窓から見えた景色が前と全然違う。復興は進んだんだね」。一番列車の乗客で釜石市の主婦前川ケイ子さん(77)の声が弾む。
 リアス線は24日に通常運行を始める。従来の南、北リアス線を含めて盛駅(大船渡市)から久慈駅まで岩手県の沿岸163キロを結ぶ。前川さんは「紅葉のシーズンになったら、ゆっくり往復してみたい」と話し、三鉄の旅に思いを巡らせた。


2019年03月24日日曜日


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