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<始動!若林署>(上)分割/繁忙署の負担軽減

当直勤務に当たる仙台南署員。無線や通報、相談電話が次々と入った=13日夜

 仙台市若林区荒井地区に4月1日、宮城県内で約30年ぶりの新設警察署「若林署」が誕生する。東日本大震災の津波浸水域を含む同区全域を受け持つ。多くの被災者が移り住む新しい街で、復興まちづくりの一環として治安をどう守るのか。役割と課題を探った。

 「若林区若林4丁目で追突事故。けが人あり」
 1日午後7時ごろ、110番を受理した県警通信指令室から仙台南署当直に無線連絡が入った。署員2人が小走りで事故捜査用のワゴン車に乗り込み、現場に向かった。
 約15分後、今度は太白区西の平1丁目で人身事故が発生したと連絡があった。2人は若林4丁目の事故処理を終えると一息つく間もなく、約6キロ離れた現場へ急いだ。

<秋田全県に匹敵>
 1日夕〜2日朝までの当直時間中に南署が受けた通報は34件。「怪しい車が止まっている」「外がうるさい」といった住民の声にも署員は現場に足を運んだ。丸1日が当直態勢となる土日祝日には、100件近い通報が寄せられることもある。
 刑事担当の男性巡査長(30)は「現場から現場へのはしごは日常茶飯事で、2時間寝られればいい方だ。完徹(完全徹夜)の日もある」とこぼした。
 南署は仙台市の若林、太白両区のほとんどを管轄してきた。東の太平洋岸から西の山形県境までと広範囲で、管内人口は約36万人と県内24署で最多だ。
 管内の昨年の刑法犯認知件数は2247件で秋田県全体(2460件)に匹敵する。5年前に比べて全県で3割減った一方、管内の減少率は1割未満にすぎず、相対的に繁忙度を増している。
 仙台市全5区への警察署設置は1989年の政令市移行から続く検討課題だ。90年の泉署開設で若林区が唯一の空白区になり、区民らが再三にわたって陳情。2005年に14年の開設がようやく決まったが、東日本大震災の被災署の再建が優先され、計画は5年遅れた。
 若林署の実現をライフワークとした同区選出の元県議千葉達さん(73)は「警察署は生活安全のインフラだ。地域密着で活動してほしい」と期待する。

<円滑な連携必要>
 170人態勢でスタートする同署は主に南署から人員を振り分けられたが、県内有数の規模だった南署の分割には懸念もある。
 大規模署は人員面での機動力を生かした捜査が可能だ。太白、若林両区で昨年10〜11月に6件連続発生したひったくり事件では他の事件も抱える刑事1、2課以外の警察官を総動員して聞き込みと張り込みを繰り返し、容疑者の早期逮捕につなげた。
 隣り合う両区を2署で分担すれば、それぞれきめ細かな活動ができる半面、広域的な事案では円滑な連携が求められる。若林署副署長に就く県警の及川謙太郎同署準備室長は「他署と助け合い、時には競い合いながら住民の安心、安全に貢献したい」と話す。

[メモ]若林署は県内25カ所目の警察署で、若林区荒井東1丁目に立地。鉄筋4階の庁舎は延べ床面積約4100平方メートル。鉄筋2階の車庫・倉庫棟も設ける。用地取得を含む総事業費は約30億円。仙台東署から卸町、仙台南署から若林区中央幹部、連坊、河原町、六郷、荒井の各交番を編入し、6交番体制をとる。


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2019年03月25日月曜日


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