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<救急車東奔西走>(1)10分に1度/救命態勢の維持厳しく

出動要請に備え、救急車の資機材を確認する川村さん

 仙台市内で救急車の出動件数が増え続けている。2018年は5万件を突破し、5年連続で過去最多を更新した。搬送者の約半数が65歳以上で、高齢化の進展が件数を押し上げる。不要不急の119番も相変わらず多い。東奔西走する救急車。5万件突破の足元を探った。
(報道部・池田隆平)

<待てど来ず>
 「あなたたち、何をもたもたしていたのよっ」
 18年11月、青葉区西部の住宅地。青葉消防署の救急隊員川村耕作さん(43)は「娘が過呼吸になった」と救急車を要請した母親に激しくののしられた。
 怒りはもっともだった。娘の異変を感じてすぐに119番したが、いくら待っても救急車は来ない。姿を見せたのは約20分後。市内の平均到着時間8.3分との差は大きかった。
 青葉消防署は市中心部にあり、現場の住宅地とは直線距離で13キロも離れていた。当時、この住宅地に近い消防署や出張所は出動要請が相次ぎ、救急車が1台もなかった。青葉消防署が日常的な守備範囲を超えて急行するしか方法はなかった。
 「患者の命に別条はなかったが、救急車の到着遅れが命取りになるかもしれない。そう思うと、怖い」と川村さんは不安を募らせる。
 グラフの通り、市内の出動件数は増加の一途をたどっている。10年に4万件を超え、東日本大震災翌年の12年はいったん下落したが、14年以降は過去最多を更新し続ける。18年は5万2538件(速報値)に達した。
 市消防局は市内23カ所の消防署や出張所などに計26台の救急車を配備する。1日の平均出動数は143.9件。実に10分に1度、どこかの救急車が現場に向かい始める計算になる。守備範囲を超えた救急車のやりくりも珍しくなくなった。

<前年の1.5倍>
 中でも青葉消防署は出動件数が非常に多い。18年は5272件で市全体の約1割を占めた。4月に救急隊が増設されて常時2台の配備となったこともあり、前年の1.5倍に膨らんだ。
 出動件数の増加は搬送時間が長くなる結果を招いている。出動要請から病院収容までの市全体の平均時間は、08年の35.5分に対し18年は38.2分。平均8.3分の現場到着時間も10年前は8.1分だった。
 青葉消防署の山口儀浩署長は「出動件数は今後も増える。今の態勢でいつまで対応できるかは分からないが、現場としては救急隊員のスキルを高め、市民の命を守るしかない」と話す。


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2019年03月25日月曜日


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