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<羽生結弦>「勝ちたい。今季やっと、自分の原点が見えた」勝負師の顔再び

エキシビションに登場し、華麗な演技を披露する羽生(川村公俊撮影)

 さばさばとした表情に落ち着いた語り口。しかし、言葉の端々にはたぎる闘志がにじむ。「勝ちたい。今季やっと、自分の原点が見えた」。チェンとの死闘から一夜明け、羽生は平昌五輪後に失いかけた勝利への渇望を取り戻した様子だった。
 高難度のジャンプに安定感も加わったチェンの快演は、羽生がノーミスでもかなわない。「強い相手を見たとき、沸き立つような、ぞわっとする感覚」に陥った。強大なライバルを前に「完璧な演技で勝つことがうれしく、自分のためになると気付いた」。
 ロシア杯から4カ月、結局右足首のけがは完治しなかった。平昌と同じ痛み止めを飲んだ。演技への直接の影響は見えなくても、練習時間は限られた。
 特に4回転ループを取り戻す作業に忙殺された。今季から繰り返し跳べる4回転が1種類にルール改正されたため、トーループとサルコーしか持たない羽生は4回転を3本しか跳べない。羽生は「使命感」と表現したが、感情論以前にループなしでは戦えなかった。
 フリーはループを完璧に跳んでみせた。それでもチェンに勝てないという現実を突き付けられた。今後は足首の状態を見極めながら、4回転全種類の習得を目指す。平昌後に唯一のモチベーションと語っていた4回転アクセルも「今は勝つためのアクセル」と言い切った。
 「負けは死も同然」。フリー直後の言葉が五輪王者の価値観を物語る。勝負師羽生が戻ってきた。(佐藤夏樹)


2019年03月25日月曜日


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